【指導参考事項】
水稲稚苗育成時における立枯病防止に関する試験成績
上川農業試験場水稲栽培科
(昭和44年)

・ 目 的
 箱育苗における稚苗の育成中土壌の発生に田走する苗の生育不整枯死個体の発生、発根不良による苗ひも強度の低下などの諸障害がしばしば観察されている。北農試、中央農試における試験の結果、効果の認められた土壌殺苗剤について実用性を検討する。

・ 試験方法
   供試品種:しおかり           播種日:9月2日
   育苗様式:ビニ−ルハウス木箱   播種量:190cc1箱
   床土種類:水田土壌(壌土)PH4.2  施肥量:P2O5、K2O各1g
区 別 処理方法
1 無処理  
2 直後  -500 播種覆土直後タチガレン500倍液5L/m2散布
3 発芽期 -250 発芽期       〃   250       〃 
4  〃   -500   〃         〃   500       〃
5  〃   -1000  〃         〃  1000       〃 
6 直+発 -500 播種覆土直後 発芽期   〃 各500 〃
7 参考(畑) 畑苗代土壌立


 1. 苗に対する薬害は本試験の範囲内ではみられない。健苗歩合不良苗歩合および不発芽歩合については処理による差はあるとは考えられない。
 2. 苗ひも強度は覆土直後-500、および覆土直後500+発芽期500処理で低下している。これは横張り根が無処理および発芽期処理より少ないことによるものと思われる。
 3. 苗の生育は処理区においてしぃき生育が良く、葉色も濃いことが観察され、特に覆土直後-500発芽期-250覆土直後500+発芽期-500で顕著であった。
 4. 本試験は9月に行ったことによるのか無処理区においても観察では立枯の発生は認められなかった。なお、本薬剤の効果については春期の育苗で更に検討を要すると考えられる。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 第1表 健苗歩合と苗ひも強度 (9月22日調査)
区 別 健苗数
(苗ひも列)
健苗
歩合
(%)
不良苗
歩合
(%)
不発芽
歩合
(%)
苗ひも強度(g/20cm)
平均(最大から最小)
1 無処理 369 86.8 1.4 11.8 273 (440〜280)
2 直後-500 305 89.2 0.9 9.9 145 (250〜110)
3 発芽期-250 360 86.5 1.9 11.6 240 (360〜150)
4  〃  -550 383 83.3 1.5 15.2 304 (420〜290)
5  〃  -1000 377 87.1 1.2 11.7 274 (470〜220)
6 直+発-500 381 88.0 0.7 11.3 182 (300〜80)
7 参 考(畑) 353 83.8 6.9 9.3 269 (540〜200)

 第2表 苗の生育 (9月22日調査)
区 別 草丈
(cm)
第1鞘高
(cm)
葉数
(葉)
乾物重 (g/100本) 苗揃 根張り
状態
根の色
茎葉
1 無処理 9.1 2.7 2.1 0.579 0.658 ヤヤ不良 淡褐色
2 直後-500 10.0 2.8 2.3 1.135 0.636 横張根少
3 発芽期-250 10.3 2.7 2.3 0.987 0.578
4  〃  -550 10.0 2.8 2.1 0.888 0.531
5  〃  -1000 9.9 2.8 2.2 0.891 0.549
6 直+発-500 10.5 2.9 2.3 0.937 0.702 横張根少
7 参 考(畑) 9.7 2.8 2.1 0.838 0.731 ヤヤ不良 褐色