【普及奨励事項】
小豆「十育62号」に関する試験成績 道立十勝農試豆類第2科 (昭和35〜44年) |
・ 育種目標
大粒・良質・多収品種の育成
・ 来 歴
交配年次:昭和35年
交配場所:十勝農試
組合せ :「能登小豆」×「早生大粒1号」
育種方法:F2〜F5 集団育種 F4以降 系統育種
育種経過:昭和41年 生産力検定予備試験
〃42年 生産力検定試験 系統名「2027」
〃43年〜44年 生検、系統適応性検定、系統名「十育62号」
世 代:昭和44年 F10
・ 特 性
(1)一般性状
草丈は「早生大粒1号」よりやや高く、分枝数、着莢数共に「早生大粒1号」よりやや多い。花色、茎色、葉形、毛茸の形状、莢色などはいずれも「早生大粒1号」に類似する。
(2)開花始および成熟期
「早生大粒1号」に比較し、開花始は3日前後、成熟期は5日前後遅い中生種
(3)子実
形状、粒色は「早生大粒1号」に類似するが、大きさは「早生大粒1号」よりやや大きく、粒揃い良好で、外観的品質は「早生大粒1号」よりややまさる。
(4)収量
道央、道南においては「早生大粒1号」より約10%多収で、「宝小豆」と同程度かややまさる収量を示す。しかし十勝・網走などにおける収量は「早生大粒1号」並み。
(5)耐害性
倒伏に対しては「早生大粒1号」よりやや強く、褐斑病の被害やや少ない傾向を示す。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
(1)十勝農試成績 (昭和42〜44年3ヶ年平均)
品種及び 系統名 |
開花始 (月日) |
成熟期 (月日) |
生育 日数 (日) |
倒伏 多少 |
草丈 (cm) |
分枝数 (本) |
着枝数 (ヶ) |
10a当り | 1.000 粒重 (g) |
品質 | ||
総重 (kg) |
子実重 (kg) |
比 (%) |
||||||||||
十育62号 | 7.30 | 9.26 | 126 | 微 | 45 | 3.4 | 36.6 | 452 | 269 | 111 | 202 | 2上 |
早生大粒1号 | 7.26 | 9.23 | 123 | 少 | 41 | 2.8 | 33.0 | 388 | 242 | 100 | 196 | 2 |
宝小豆 | 7.29 | 9.21 | 121 | 微 | 42 | 2.8 | 33.2 | 383 | 250 | 103 | 133 | 2 |
品種 及び 系統名 |
中央農試畑作部 | 同左 原々種農場 | 道南農試 | 上川農試 | 北見農試 | |||||
10a当 収量 (kg) |
比 (%) |
10a当 収量 (kg) |
比 (%) |
10a当 収量 (kg) |
比 (%) |
10a当 収量 (kg) |
比 (%) |
10a当 収量 (kg) |
比 (%) |
|
十育62号 | 281 | 108 | 359 | 103 | 302 | 109 | 242 | 109 | 78 | 73 |
早生大粒1号 | 260 | 100 | 349 | 100 | 276 | 100 | 221 | 100 | 107 | 100 |
宝小豆 | 225 | 87 | 326 | 93 | 268 | 97 | 255 | 115 | 132 | 123 |
早生大納言 | 292 | 106 | ||||||||
試験年次 | 昭43〜44 | 昭43〜44 | 昭44 | 昭43〜44 | 昭43 |
・ 適応地帯並びに栽培上の注意
(1)適用地帯
道南及び道央(空知中部以南)
宝より安全性に欠く、大納言におきかえる
(2)栽培上の注意
「早生大粒1号」に順ずるが、「早生大粒1号」より耐倒伏性がやや強いため、10a当り株数、あるいは施肥量をやや多くすることにより多収が期待できる。