【指導参考事項】
昭和44年度試験成績概要
田植機の利用に関する試験
−代掻き法と代掻き後の落水処理による土壌物理性の経時的変化について−
北海道農業試験場農業物理部機械化第2研究室

・ 研究目的
 田植機の利用に適した土壌物理性を保持するための代掻き作業法について検討する。

・ 年 次  昭和44年度〜 (新規)

・ 試験方法
 1. 期日   2. 場所   3. 供試圃場条件については第1表に示す。
 4. 供試土壌の物理性測定器:10×10×3cmの直方体をSR-Ⅱ型土壌硬度計にとりつけ、3cm貫入した時の最大抵抗(kg)で表示した。
 5. 試験区:第2表に示す。
 第1表 期日、場所、供試圃場条件
期  日 9月1日〜9日
場  所 北農試作工場前
土  性 埴壌土
耕耘法 日数 ロ−タリ− 1回耕耘
耕  深 13〜15cm
代掻き前かき湛水日数 2日
均平法 回数 テイラ 2回、4回
移植前日数      

 第2表 試験区
1  代掻き2回 常時湛水区 20に等分 1区画2m2
2     〃   72時間湛水区
3  代掻き4回 常時湛水区
4     〃   72時間湛水区

・ 試験研究の結果
 1. 代掻き後の土壌物理性に対し、代掻きと落水処理をどのように組合せるかを検討したが、第1・2図に示すように代掻き落水処理を行わなければ168時間を除くと貫入抵抗とその変動は経済的にやや増加する。
   しかし代掻き落水処理を行うと、貫入抵抗は時間の経過に従って大きく変動する傾向にある。
 2. 代掻き回数は土性と圃場の均平度によって異なるが、田植機の利用に適した土壌物理性(貫入抵抗4kg)については、おおよそ次のような目安が得られた。
   埴土:代掻き2回では代掻き後1日、代掻き4回では代掻き後4日
   埴壌土(参考):代掻き2回では代掻き後1日、代掻き4回では代掻き後3日
 3. 粒子の細かい土壌では代掻き後土壌が落ち着くまでの日数が長くなるので、この日数を短縮するには代掻き回数を少なくするか、落水処理を行うことも考えられる。
   しあkし第3・4図に示すように落水処理することによって貫入抵抗値は大きくなり土壌物理性の変動も大きくなった。不均平な圃場における晴天時の落水はさらに土壌物理性の変動が大きくなるから、避けることが望ましい。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 第1図 土壌物理性の経時的変化
     (作工場前:常時湛水)


 第2図 土壌物理性の経時的変化
     (作工場前:常時湛水)


 第3図 土壌物理性の経時的変化
     (作工場前:72時間落水)


 第4図 土壌物理性の経時的変化
     (作工場前:72時間落水)

・ 研究上の見通しと残された問題点
 1. 耕耘整地均手法と代掻き後の土壌物理性の変動について検討したい。
 2. 落水処理による土壌物理性の変動についてさらに検討したい。

・ 次年度の有無  有り