【指導参考事項】
傾斜地用てん菜収穫機
(傾斜地の機械化に関する試験)
北海道立十勝農業試験場 農業機械科
(昭和41〜)

・ 目 的
 傾斜地地帯における作業労働の軽減を図るため、まず、平地用機械の利用拡張を進め、適応化試験を行い、簡単な装置の開発をこころみながら傾斜地の機械化を検討する。

・ 試験方法
 1. 試験条件
年次/項目 41年度 43年度 44年度
試験期日 9月15日 10月28日〜30日 10月8日〜10日
試験場所 上富良野町 上富良野町 上富良野町
留寿都村(利用)
供試ビ−トハ−バスタ− スガノ直装式 スガノ直装式
三興けん引式
供試トラクタ− フォ−ド3000 フォ−ド3000
フィットアット4415
フォ−ド3000
ゼトア3511

 2. 試作改良点
年次/改良点 41年度 43年度 44年度
トラクタ− 3点リンク    
スタピライザ−    
パラスト    
デフロック    
移動重錘   ● ○  
重心位置     ● ○
作業機 ヒッチ部  
機体保持輪   ● ○
かじ取りデスク  
重心位置   ● ○
荷下方法  
  ● スガノ農機ハ−バスタ−
  ○ 三興精機ハベスタ−

 3. 調査項目
  1) 傾斜地とトラクタ−の姿勢、作業機および作業性能
  2) 走行および回行の難易
  3) 作業限界傾斜度
  4) 現地利用実態

・ 試験成果の概要
 1) 作業機の下方移動を防止するための対策として、トラクタ−のすわり、作業機のヒッチ、かじ取り装置、作業機の機体保持輪操だなどの検討を行った。
 2) トラクタ−のロア−リンクおよびスタビライザ−の長さを変えることにより作業機を山側に引き上げる方式は7〜9°では走行性が悪くなり作業機の性能も低下する。(図1)
 3) トラクタ−の重心位置を下げると安定性を増すので作業機の装着方法などをあわせ検討する必要がある。
 4) 直装式とけん引式では直装式の方が傾斜適応性が強く、そのハンデが傾斜地の装置効果にも現れる。直装式の機体保持輪を操だする方法はきわめて効果的で、10〜12度での傾斜面での作業が可能である。(図2)
 5) 機体保持車輪の操だを自在に調節可能としたの(回行)作業が出来作業能率は向上する。利用試験の結果7〜14ア−ル/時の能率を得た。ただし若干のタッピングの手なおしを要した。

 主要成果の具体的デ−タ−
 図1 けん引角と作業性能


 図2 傾斜地用装置を用いた場合の作業性能




              Aほ場における収穫状況

・ 問題点
 1. 機体保持車輪の操だを運転席より操作出来るようにする。
 2. 傾斜地の一貫機械化をはかる。