【指導参考事項】
プラスチックパイプ暗渠の施工法
北海道農試 農業土木研究室
(昭和42〜)

・ 目 的
 プラスチックパイプを用いて暗渠を施工した場合の排水効果を調べ、暗渠として機能を高めるパイプの条件と設置方法を考える資料とする。

・ 試験方法
 泥炭原野にプラスチックパイプ暗渠、土営暗渠、弾丸暗渠を併置し、施工能率、流出量、地下水位、地盤沈下などを比較した。
 プラスチックパイプの種類は4mのものと、100mの長尺コルゲ−ト営で、コルゲ−ト営については被覆物の種類を変えた。施工能率は実際の測定値から1ha当たりに換算して比較し、流出量は転倒弁型量水番で記録測定した。

・ 試験成果の概要
 1. プラスチックパイプは軽量で取り扱いが容易であり、1本の長さも土管に比べて長いので、施工能率は極めて良い。せん孔引き込み式によらず、掘さく、埋設、埋め戻しの手続きを経る場合においても、土管暗渠に要する時間の50〜70%位で設置できることが分かった。
 2. 排水能力は必ずしも短時間に多量の水を流出することを必要とするわけではないが、プラスチック系のものは土管よりはるかに多い場合からやや少ない場合などとさまざまであり、その他地盤、地下水位の調査からも短時間の調査では優劣がないといえる。
 3. 昭和33年施工のハイゼックスパイプ暗渠は未だに効果があり、不等沈下の多い泥炭地においても持続性がきわめて長いことが分かった。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 施工能率 hr/ha 90cm×9列、間隔10m、深さ80m
作業員1人当り換算
     
  1. 



  ヒシパイプ(∮4.5cm×4m)  …38.0
土管   (   6cm×30cm)…78.4
弾丸……0.7〕小松D60P-3型プル−
(小西式HMD-316モ−ルドレ−ナ)




HKN、MS−32型
トレンチャ−
  2.



コルゲ−ト営(∮5cm×100m)…36
   〃    (不織布巻)   …36.2
   〃    (稲わら被覆)  …45.8
土管     (  〃  )    …64.4 




HKNトレンチャ−
MS-32L型
 流出量 42年 43年 44年
  1.



ヒシパイプ…
土管   …
弾丸   …
57.218L/32日…
63.435/32
24.386/32
10.282L/9日…
11.346/9
1.575/9
12.057L/15日
11.554/15
2.575/15
  2.



コルゲ−ト営
   〃(不織布)
   〃(稲わら)
土管  ( 〃  )
弾丸
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
10.294L/8日
9.793/8
8.811/8
5.655/8
1.274/8
55.337L/30
54.238/30
68.973/30
35.195/30
27.789/30

・ 普及指導上の注意事項
 1. 施工能率がよい点についてはどのような土性の所でも同様である。
 2. 排水効果は主として泥炭地で確認されたものであるが、1部羊ヶ丘においても観測され、過去のハイゼックスパイプの調査にも照らして一般に通用すると考えられる。ただし、ヘドロのような所においては土管と同じ稲わら被覆その他を考えなければ、不織布だけでは目づまりを起こす恐れがある。