【指導参考事項】
フレイル型フォレ−ジハ−ベスタ−利用による乾草調製試験
北海道立根釧農試 酪農科
(昭和43年)

・ 目 的
 2番草においてレシプロ型モア−では、能率的で均一な刈取り作業ができず、その後の反転収穫作業にも悪影響をおよぼすので、ハ−バスタ−利用によりこれらの問題点を解決し、2番乾草の大量調製法を確立する。

・ 試験方法
 フレイル型フォレ−ジハ−ベスタ−、レシプロ型モア−、ワッフラ−、サイドレ−キ、ル−ズベイラ−とオ−チャ−ドグラス、チモシ−主体の一、二番草を供試して、トラクタ−速度とエンジン回転数が刈取り高さ、切断長分布、乾草速度回収率におよぼす影響、反転回数と収穫機の差異が乾草速度、飼料成分変化消化率、回収率などにおよぼす影響について検討した。

・ 試験成果の概要
 1. 2番草においてハ−バスタ−刈、ベイラ−収穫体系は、モア−体系に比較して刈取り作業能率、刈取り草量、乾草速度などにおいて優れており、回収率は若干低下するが乾草調製量は同程度、または増加する結果となった。また乾草の消化率や栄養価には顕著な差異は認められなかった。
 2. ハ−ベスタ−刈ではサイレ−ジ収穫時よりトラクタ−の変速を高めて、刈取り草の切断長を長くすることが必要であり、本調製条件では変速4〜5エンジン回転数1600rpm程度進行速度1.7m1秒程度が適当と考えられた。
 3. 反転回数増加の効果は、水分含量の高い時に顕著なので、1日3回仕上げを急ぐ時は5回とし、水分含量の減少につれて2回程度とする。
 4. 収穫機としてはベイラ−が適当であり、ハ−ベスタ−でも収穫可能であるが、ダブルチョッピング方式の機種ではいくつかの困難性が認められた。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1. 刈取り草の乾燥速度


 2. 乾草の消化率と栄養価 (g・%)
処     理 羊NO 乾物摂取
日   量
消化率 乾物中
乾物 粗蛋白質 粗脂肪 粗繊維 NFE 粗灰分 TDN DCP
1番草ハ−ベスタ−刈ハ−ベスタ−収穫 1〜3 701.7 63.5 62.4 60.4 69.6 63.7 36.1 64.3 7.1
モア−刈ル−ズベイラ−収穫 700.6 65.9 62.3 57.6 71.9 66.3 45.3 65.1 6.8
2番草ハ−ベスタ−刈ハ−ベスタ−収穫 7〜9 1101.5 53.6 52.1 42.1 61.5 56.6 21.6 53.0 5.5
ハ−ベスタ−刈ル−ズベイラ−収穫 1067.3 51.2 51.3 40.3 61.7 51.1 24.0 49.9 5.4
モア−刈り       〃 1134.7 51.2 49.4 36.5 60.4 53.8 20.0 50.5 5.3

・ 普及指導上の注意事項
 1. 草地はおうとつのないよう造成時の整地に注意する。
 2. 乾草調製中に降雨が予想されるときは、サイドレ−キでウィンドロ−とし天候の回復をまって拡げるようにする。