【指導参考事項】
牧草堆積用シ−ト保持用具の考案例
北海道立新得畜産試験場
(昭和44年)

・ 目 的
 従来、牧草の堆積についての被覆は古叺が主に利用されていたが、最近化学製品の進歩に伴って、ビニ−ル製品が利用されるようになったが、ビニ−ルシ−トの場合被覆後のシ−トを押さえることが容易でなく一般には、鳩目から紐を通して結びつける方法がとられてきた。この場合の作業が非常にわずらわしく、克不安定なのでこれを検討し能率化と安定を計るため考案した。

・ 試験方法
 1. 材料
  1) ニオ堆積の場合(鉤状釘:hook nail以下1)という)
    ニオ1基分用(1.5m×1.5mシ−ト鳩目8ヶ付を使用の場合)直径18mmポリエチレン管を1.6m。
  2) ベ−ル堆積の場合(蛇金鉤:snake hook以下2)という。
    ベ−ル約60ヶ堆積用(3m×3mシ−ト鳩目16ヶ付を使用の場合)直径9mmポリエチレン管を8mと自動車の古チュ−ブ若干。
 2. 加工に用する器具
  1)の場合  金切鋸刃。コンロ(ガスが便利)。ナイフ。洗面器。水少量。
  2)の場合  1)と同様であるがナイフの代わりに鋏が必要。
 3. 加工方法
  1)の場合  ポリパイプを縦に截り約40cm毎に切断する(8本とする)。
 1本毎にコンロで熱し乍ら鳩目に入る程に細くする、鳩目から抜けない様にするため一方を熱して釘頭
 状とし他の一方は、牧草に良く刺さる様にして釘先状に尖らす。
 ナイフで遊離面の両面に約10mmの深さの鉤状切口(アゲ)を6ヶ所に作る。
 (注)熱して所定の形ができたら水に入れると早く固まる。
  2)の場合  蛇金鉤は2ヶを1組として輪ゴムに取付けたものを1方はシ−トの鳩目に、他の1方は輪ゴムを適度に張り
 乍ら近くにあるベ−ルのトワインに引掛ける。(この時近くにトワインがなければ長さを見計らって輪ゴムを
 継いで使用する)。


・ 試験成果の概要
 1. 耐風試験
  1)の場合  使用時の最大風速13m(平均風速6.5m)時にも耐えられた。
  2)の場合  風洞実験で(17m±2mで30分間)づつ3回風送したが、シ−トの端がかすかにゆれる程度で安全であった。

・ 普及指導指導上の注意事項
 1. 鉤類にポリエチレン製を用いた場合、加工が簡単なことと、万一圃場で紛失しても農機具等に損傷を与えることがない。
 2. 装着所要時間は従来の方法に比べ、約2/1であり極めて省力的である。