【指導参考事項】
主要畑作地帯における作付体系別作業体系に関する試験研究
北海道立十勝農業試験場 農業機械科
(昭和42〜44年)

・ 目 的
 畑作物生産の工程数の合理化および資本の投下と生産の関連について作物を組合わした中で検討を行う。

・ 試験方法
 1. 調査対象
   芽室町・中伏古・中伏古トラクタ−利用組合
  a)経営概況
農家数
(戸)
農往者
(人)
耕地
面積
(ha)
作付率 乳牛 耕馬
(頭)

(羽)
豆類
(%)
根菜類
(%)
その他
(%)
成牛
(頭)
育成牛
(頭)
12 30 190 26.4 50.4 23.2 3 15 1 1.500
  b)所有農業機械(利用組合)
   トラクタ−7台 総馬力255.5ps 作業機約45点

・ 試験成果の概要
 現在の作付体系上問題となっている時期は、4月中旬から5月上旬、9月中旬から下旬、10月上旬から下旬の三時期である。これらの時期は異種作業が交錯しており、したがって能率も低下している。4月下旬から5月上旬は馬鈴薯の播種と、てん菜の移植が、主な作業であるが、その他に種馬鈴薯切り、堆肥運搬散布、耕起、整地などが行われている。9月中旬〜下旬は小麦の播種と播種する畑の収穫作業が交錯している。小麦の播種適期までに前作物(馬鈴薯、大正金時)を片付けなければばらない。しかし大正金時は以前として手刈り収穫であり、馬鈴薯も搬送に受け入れ制限があるため能率は下がっている。
10月上旬〜下旬は豆類の収穫乾脱穀、馬鈴薯、てん菜の収穫と交錯している。
 このような労働がひっ迫した時期は作業の単純化、作業時間の移動、資材または機械の開発改良により、作業能率を上げることが必要である。次ぎに現状の作業体系における改善点は次ぎの通りである。
  1) 堆肥散布、石灰散布、耕起播秋(主に11月上〜中旬)に行う。
  2) 種子馬鈴薯の準備、種子切りは3月下旬から4月上旬に移動する。
  3) 生育期除草剤の開発により除草作業を軽減する。
  4) てん菜単はい種子の使用により間引作業を軽減する。
  5) 9月中旬〜10月上旬の大正金時、小豆の刈取りをピ−ンハ−ベスタ−で行う。
  以上のような改善で、労働のひっ迫は相当緩和される。
  総投下労働時間に占める機械利用時間の割合は、耕起、整地、播種作業で15〜20%の根菜類の収穫作業で約20%、根菜類の管理作業で5〜10%で低く特に除草作業の機械化は全くない。今後さらに機械利用を進めて省力化を計る必要がある。
 ○作付率と作業体系の検討
  労働力と耕地面積を変化させた場合に、作付率と作業体系がどのように変化するかを分析しようとした。分析法はリニアプログラミングを用いたが、デ−タ−に不充分な点もあると思われるので、さらに検討を要する。
  分析の結果は次の通りである。
  1) 労働力2.0人で雇用を入れなければ、労働が制限されて14haが限界となった。
  2) 雇用を労働ピ−クに入れると、1人10ha作付可能となった。
  3) 秋小麦は収益性が比較的高く、地力維持作物として重要であるが、収穫方法としては、1人当り小麦面積が1ha以下では手収穫が可能である。それ以上の場合はコンバインが必要である。
  4) 小豆は収益性が高いので労働力が比較的多い場合は作付されるが、少労働の場合は、収益性は低いが、収穫期に幅のある大正金時の作付が多くなった。作業方法では、労働力20人で耕地面積15ha、雇用を入れない場合、ピ−ンハ−ベスタ−が必要となったが、雇用を入れた場合は、手刈り収穫が採用された。
  5) 馬鈴薯の作業方法として、1人当り馬鈴薯の面積が20ha以下では手植えが可能で、それ以上になることポテトプランタ−が必要という結果が出た。しかし、実際には、手植え作業は重作業なので20ha以下でも必要とするだろう。
  6) てん菜直播の収穫水準を上げ、且つ省力化しない限り、移植が採用される。作業体系では、1部畜力を使うよりもトラクタ−の一貫栽培が採用された。

・ 主要成果の具体的デ−タ−

 昭和43年度4戸合計 投下労働時間