【普及奨励事項】
りんごわい性台木利用試験 (2) 整枝法試験 (昭和39〜46年) 道立中央農試 園芸部 |
・ 目 的
わい性台木使用樹ならびに標準台使用樹において、栽植後短年間に多収を上げるための若木時代の整枝法を明らかにする。
・ 試験方法
(1) 供試台木 EMⅦ、MM111、マルバカイドウ
(2) 供試穂品種 スタ−キングデリシャス、旭、
(3) 処理方法
(1) 標準区 現在一般に行われている遅延開心型
(2) 弱剪定誘引区 幼木時代はできるだけ弱剪定とし、かつ下段の側枝を水平近くまで引きさげる。
(3) 新梢一部強切返し区 側枝上の一年枝を一部強切返しを行い、側枝全体に弱い枝の萌芽を図り、結果母枝をつくる。
(4) 無剪定区 栽植後2年間(樹令4年まで)は普通の剪定を行い、以後無剪定とする。栽植距離 4.5m×7.0m
・ 試験結果の概要
1. 樹体の生育は無剪定区が最も良好であった。
2. 収量は1樹当りにおいては、無剪定区が最も多く、ついで弱剪定誘引区であり、新梢の一部強切返し区はやや劣った。
3. 果実の発育は無剪定区が最も劣り、他の区間では余り差がなかった。
4. 以上のことから若令樹の早期結実を図るには、剪定を軽くすることが有効であることが認められた。しかし無剪定では果実の品質が劣るので弱剪定誘引法による剪定法が効果があると考えられる。なお、10a当りの収量を比較すると、スタ−キングデリシャスのEMⅦ台はマルバカイドウ台に比べ著しく多い(約3.8倍)ことが認められた。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
整枝法による樹体生育、収量等の差異
種品種 | 台木 | 整枝法 | 調査樹数 | 幹周 (cm) |
剪枝重量 (kg) |
1樹当収量 (kg) |
1果重量 (g) |
10a当収量 (kg) |
ス タ − キ ン グ |
EMⅦ | 標 準 | 7 | 29.3 | 6.2 | 33.7 (100) | 168 | 2.123 |
弱剪定誘引 | 7 | 29.5 | 3.5 | 45.2 (134) | 173 | 2.848 | ||
新梢一部強切返し | 8 | 26.3 | 5.2 | 27.4 (81) | 172 | 1.726 | ||
無剪定 | 4 | 34.3 | − | 57.5 (171) | 146 | − | ||
マルバ | 標 準 | 8 | 32.4 | 9.3 | 17.8 (100) | 171 | 552 | |
弱剪定誘引 | 7 | 34.0 | 7.4 | 49.9 (252) | 166 | 1.547 | ||
新梢一部強切返し | 8 | 30.0 | 9.1 | 18.1 (102) | 159 | 561 | ||
無剪定 | 3 | 34.7 | − | 75.1 (422) | 151 | − | ||
旭 | MM111 | 標 準 | 7 | 34.9 | 9.8 | 27.4 (100) | 144 | 849 |
弱剪定誘引 | 8 | 34.5 | 3.4 | 33.3 (122) | 131 | 1.032 | ||
新梢一部強切返し | 9 | 33.8 | 6.6 | 31.7 (115) | 151 | 983 |
・ 普及指導上の注意事項
1. 幼木時代は剪定を弱め、誘引を行い早期結実を図ることが望ましい。
2. 主幹からの発出角度が著しく狭い枝は誘引により裂開するおそれがあり、また、そのような枝を無理に誘引した場合、雪害のおそれがあるので使用せず、できるだけ早い機会に剪去する。
3. 枝の誘引は7月上旬〜8月中旬に行う。