【指導参考事項】
アスパラガスの育苗期間短縮に関する試験成績
昭和31〜46年
北農試作物第2部園芸作物第2研究室
担当者 小餅 昭二

・ 目 的
 慣行によるアスパラガスの播種期は4月下旬とされているが、アスパラガスの発芽適温から考えて適期とは考えられないので、遅まきとし育苗期間を短縮したこきの結果を調査し、さらにすすんでハウス内で早まき育苗、当年定植する短期育苗法を検討。

・ 試験方法
 Ⅰ 播種期に関する試験 
  試験1. 年次) 昭和31〜40年  播種期) 4月30日、6月2日、7月16日
   〃 2.  〃 )    33〜 36    〃 ) 5  .2、  6.  6、  6. 30
   〃 3.  〃 )    35〜 36        〃 ) 4.  30、 5.  30、 6. 30
   〃 4.  〃 )    35〜 40     〃 ) 5.  2、  5.  31、 6. 30、前年8.15
 Ⅱ 短期育苗に関する試験 
  年  次) 昭和41〜46年
  試験区) 普通育苗(5月20日播種翌年定植)、短期育苗(3月15日ハウス内播種当年定植)
        短期育苗には紙筒1号、2号(日甜規格)を使用


・ 試験結果の概要
 1. 発芽日数は4月30日まきで40日近く、6月まきで20〜25日、7月以降まきで12〜18日であった。
 2. 生長率は播種期の遅いものほど大きく、慣行より1ヵ月遅い播種期では定植1年目に慣行苗の生育水準に達した。2ヵ月遅れの播種期では定植2年目に草丈、茎数が慣行苗の水準に達したが、茎径では若干細い傾向が認められた。
 3. 収量は4月下旬から7月中旬までの播種期の間に差は認められなかった。
 4. 8月15日播種し、翌年苗圃に移植、1年半苗として定植した区では茎数が減少し、収量も1年苗より劣った。
 5. 当年定植の短期育苗は紙筒1号を使用したとき、3ヵ年収量で普通育苗との間に大差は認められなかった。
 6. 以上の結果よりアスパラガスの播種適期を6月上旬までとする。また、定植前年の育苗ができなかったときは、定植当年の3月中旬に播種、ハウス内育苗し5月下旬に定植する短期育苗も可能である。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 試験1.     (g/10株)
   試験区
収穫年次 4-30 6-2 7-16
定植 3年目 436 401 442
 〃 4 〃 967 967 925
 〃 5 〃 1725 2055 1981
 〃 6 〃 1861 1974 2139
 〃 7 〃 1633 1573 1902
 〃 8 〃 1099 1182 1310
 〃 9 〃 757 823 1033

 試験2.     (g/10株)
  試験区
収穫年次 5-2 6-6 7-2
定植 2年目 312 267 174
 〃 3 〃 615 545 566
 〃 4 〃 1590 1633 1437
 〃 5 〃 2394 2349 2273
 〃 6 〃 2580 2709 2479
 〃 7 〃 2483 2499 2132

 試験4.     (g/10株)
  試験区
収穫年次 5-2 5-31 6-30 移植 LSD(5%)
定植 3年目 628 709 673 459 126
 〃 4 〃 1076 1128 1118 883 316

・ 普及指導上の注意事項
 1. 苗の堀り取りのさいはできるだけ断根に注意する。
 2. ハウス内で短期育苗するときは紙筒1号を用い無病の培養土を使用する。
 3. 収穫日数の規準を厳守する。