【指導参考事項】
夏メロンの立地条件と栽培法改善に関する試験
1. 栽培立地条件に関する試験
(中央農試 園芸部花きそ菜科・山谷 吉蔵、化学部土壌肥料科・相馬暁)

・ 目 的
 露地メロンの栽培地帯別の品種と栽培法の実態を調査し、栽培法および土壌管理法改善の資料を得る。

・ 試験方法
 1. 道内主要栽培地の面積および作型、栽培法の実態調査。
 2. 共通品種による比較栽培試験
    供用品種   北海道系キング    東京キング
    試験圃場   ①夕張市 ②共和町 ③長沼町幌内 ④長沼町6区
 3. 主要産地の調査
    調査項目   三相の経時的変化  孔隙分布  PF観測
    調査圃場   ①札幌市手稲 ②三笠市本郷 ③長沼町幌内 ④農試高台 ⑤農試低地


・ 試験成果の概要
 1. 本道における露地メロンの栽培状況について調査した。15市町村で栽培されていて、総面積 約300ha、生産量 約7000t
   栽植密度が産地により異なり、整枝法、換気法が2つに大別され、収量差も大きく、施肥量、方法も異なる。品種は他軌道キング系が主体である。一部機械利用の省力栽培も行われている。
 2. 共通品種を3場所で栽培した結果は、北海道キングは初期生育、結果数が優っているが、場所により果型の変化が大きい。東京キングは場所による果型の変化が少なく、熟期も早いが、梢々小果である。
 3. 主産地の調査では、
  ①札幌市手稲土壌は、粗孔隙が多く通気性はよいが、有効水孔隙は少ない。したがって、少量、多回数の灌水が必要であるが、逆に水管理により品質を確保し易い土壌であった。
  ②三笠市本郷土壌は、当初の粗孔隙は多かったが、有効水は少なく、かつ粗孔隙が不安定であった。今後、土壌構造の安定と有効水の増加が図らなければならない。
  ③長沼町幌内土壌は、粗孔隙も有効水も多い。マルチ条件下で全孔隙の変化はほとんどなく、比較的孔隙は安定で、水分保持および透水性の良い土壌であった。
  ④農試高台土壌は、マルチ下で比較的孔隙も有効水も多く、長沼町幌内に類似しているが、果実肥大期に水分不足になりやすい土壌であった。
  ⑤農試低地土壌は、粗孔隙が少なく、かつ三笠市本郷以上に有孔水が少なく、過湿・過乾におちいりやすい土壌であった。このような土壌は、土壌改善の必要がある。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1. 共通品種による比較的栽培試験
試験
場所
供用
品種名
草丈
(cm)
葉数 1株当 1果
平均重量
(g)
果型 ブリックス
(%)
備 考
着果数
(ヶ)
重量
(g)

(cm)

(cm)
夕張市 北海道キング 65 11 5.0 6.900 1.370 13.5 10.5 8.7 夕張キング
東京キング 47 9 3.2 3.200 985 13.2 11.7 12.5
共和町 北海道キング 226 25 4.0 未熟 札幌キング
東京キング 195 25 2.0 1.900 940 12.7 11.6 13.0
長沼町幌内 北海道キング 89 15 3.5 4.690 1.310 13.8 13.0 10.8 ワンダフル
東京キング 101 14 3.4 3.490 1.010 12.6 12.0 10.0
長沼町6区 北海道キング 90 15 3.5 5.145 1.470 15.3 14.3 10.5 ワンダフル
東京キング 100 14 3.2 3.450 1.080 13.6 12.6 10.2

 2. 主要産地土壌の孔隙分布の変化(%v/v)
調査地 採取
月日
表層部 (0〜5cm) 下層部 (10〜15cm)
PF1.7以下
粗孔隙
1.7〜3.0
易有効水
3.0〜3.8
難有効水
全孔隙 PF1.7以下
粗孔隙
1.7〜3.0
易有効水
3.0〜3.8
難有効水
全孔隙
農試 低地 6.29 11.8 12.4 8.4 60.4 12.0 11.5 7.9 57.5
9.12 6.6 5.0 11.4 49.3 3.9 6.0 8.6 45.6
10.9 6.5 7.2 7.5 45.0 4.1 7.7 8.9 44.6
三笠市本郷 6.8 22.6 8.1 6.6 54.3 22.2 8.7 6.6 54.7
8.18 10.8 8.3 4.7 39.4 11.7 9.5 5.5 44.4
札幌市手稲 6.9 37.6 6.8 2.1 54.0 34.5 9.2 2.2 53.9
農試 高台 6.20 14.0 14.2 8.3 64.4 13.8 14.8 7.8 62.9
9.21 8.3 12.8 8.2 53.2 7.5 12.8 8.8 55.3
長沼町幌内 6.8 24.6 15.7 5.9 61.5 25.8 15.7 7.0 63.4
8.18 17.8 19.8 5.5 58.7 11.1 23.1 5.7 56.4
9.17 13.8 14.3 5.2 51.6 17.4 15.6 5.3 51.3
  注) PF 0〜2.0  水柱法
     PF 2.0以上  遠心法