【指導参考事項】
場所名  北海道農業試験場農業物理部機械化第1研究室
課題名  雪車による散布機の利用試験(その2)
試験年次  開始昭和44年・終了予定 不明

・ 目 的
 融雪・除雪・貯雪作業の省力的方法を見出す。当面は融雪法で、営農用機械の汎用的利用の可能性について見通しをうる。(普及指導参考として各地域での実用化資料に供したい。)

・ 試験方法
 1. 試験期日 昭和46年2月1日〜5月10日
 2. 場   所 札幌市羊ヶ丘、岩見沢市幌向、虻田郡真狩町、枝幸郡歌登町、河西郡芽室町
 3. 供試機   フルクロ−ラ・トラクタ、セミクロ−ラ・トラクタ、S.K.Y型雪上車、ブロ−ア、ダスタ−、ライムソア
 4. 融雪剤   GA.TC.KC.MT.HK
 5. 試験区   10ア−ル当り、10、50、100、150kg散布
 6. 測定項目 積雪状況、融雪状況、雪質、密度、走行性能

・ 試験結果
 1. 現状の小型雪上車は接雪圧が0.1kg/cm2内外でフル・クロ−ラトラクタの0.2kg/cm2、大型雪上車の0.05kg/cm2に対して、中間である。
 2. 小型雪上車の雪上けん引性能は、歩行深20cmの「やや軟雪」の条件で、重量128kgのバチをけん引するとき、積載量500kgが限界である。ただし、歩行深10cm以下の「硬雪」では800〜1000kgを積載してけん引することができる。
 3. 融雪剤散布による融雪効果は寒冷・多積雪地に多い。
 4. 融雪剤の散布機は固有の散布性能をもつので走行速度を規制する。各種のテスト結果から実用性のあるのもを整理り、「融雪剤散布作業標準(案)」を提出したのが表2である。

・ 主要成果の具体的デ−タ
 表1 Y型雪上車の走行性能



 表2 融雪作業標準(案)
材料 機械 作業法 負担面積
(ha)
能率
(ha/hr)
経費
(10a当り)
備 考
畜力

バチ

テイラ−
(耕転機)

バチ
人力散布
(スコップ)
10〜17 0.6〜1.0 371〜570 労働力である。小型雪上車、大型
トラクタなどの利用、ブロ−ア、ブロ−
ドキャスタ、ライムソアの利用が可能と
思われるが、土の粉砕が必要である。
単価2.5円/kg
粗 粒
融雪剤
テイラ−

バチ

小型雪上車

バチ

大型トラクタ

バチ

│ブロ−ア


│ 
 >ブロ−ド
│ キアスタ



│ライムソア
13〜35








10〜30
0.7〜2.0








0.5〜0.7
754〜917 畜力+バチの利用も可。作業機をバチへ
搭載するのと、直装する方法あり、いずれ
も、バチを利用して材料運搬を行う。
雪上車など利用も可。経費はTCを代表さ
せた。粗粒融雪剤とは10a当り100kg程度
散布する融雪剤
微粒
融雪剤
テイラ−

バチ

小型雪上車

バチ

大型トラクタ

バチ

ヘリコプタ

│ブロ−ア





 >ダスタ




│ブロ−ド
│キアスタ




13〜39









105〜350




0.7〜2.2









6〜20
545〜1.396円 ヘリコプタ−の代わりに、雪上車利用も可。
経費はHKを代表させた。
微粒融雪剤とは10a当り10kg程度散布する
融雪剤

 表3 ha当り融雪剤の散布に要する経費(試算)
散布機 補助
作業機
使用
雪上車
作業速度
(m/s)
ha当り
所要時間
(hr)
作業
人員
(人)
融雪剤
運搬経費
(円)
機械運行
経  費
(円)
人件費
(円)
総散布経費
GA TC KC HK
ブロ−ア バチバチ L型 1.5 0.25 3 125 327 504 956 10.956 5.656 6.650 4.796
L型 1.5 0.25 3 108 327 504 939 10.939 5.639 6.639 4.779
バチバチ S型 2.5 0.15 3 849 970 336 2.155 12.155 6.855 7.855 5.995
K型 0.5 0.74 3 558 1.10 1.290 2.858 12.858 7.558 8.558 6.698
Y型 0.5 0.74 3 641 1.239 1.290 3.170 13.170 7.870 8.870 7.101
ダスタ− L型 1.0 0.31 2 134 453 540 1.127 11.127     4.967
ダスタ−
(パイプ付)
L型 0.25 0.50 4 216 731 654 1.601 11.601     5.441
ブロ−ド
キヤスタ−
L型 2.0 0.56 3 242 426 672 1.340 11.340 6.040 7.040  
ライムソア L型 1.5 1.04 3 450 954 978 2.382 12.382 7.082 8.082  
S型 3.0 0.52 3 2.907 3.160 558 6.625 16.625 11.325 12.325  
K型 0.25 6.25 3 3.056 6.087 4.596 13.739 23.739 18.439 19.439  
Y型 0.25 6.25 3 4.987 8.018 4.596 17.600 27.600 22.300 23.300  
馬そり スコップ 人力 0.67 3 552 402 952 10.954 5.654 6.654 4.794


 図1 積雪量と融雪効果との関係 (点線は推定線である)



 図2 散布区と無散布区の融雪量の関係

・ 研究上の残された問題点
 新融雪、雪利用方式

・ 次年度継続
 有