【指導参考事項】
(総)てん菜、麦、玉ねぎにおける病害と害虫の関連災害防除 −麦北地モザイク病と媒介昆虫(ウンカ類)の関連防除試験− (昭和44〜46年終了) 北海道立十勝農業試験場病虫予察科 |
・ 目 的
ウンカ類の消長と麦北地モザイク病の発病との関連性を明らかにするとともに、媒介昆(ヒメトビウンカ)の防除による麦北地モザイク病の発病抑制効果を検討する。
・ 試験方法
ウンカ類の消長と麦北地モザイク病の発生:えん麦、小麦、牧草、雑草地の発生生態ならびにえん麦におけるヒメトビウンカと麦北地モザイク病との関連性を調査した。
麦北地モザイク病の発病抑制:えん麦小麦を供試して、農薬によるヒメトビウンカの殺虫効果、施用方法、発病抑制効果を検討した。
・ 成果の概要
ウンカ類の消長と麦北地モザイク病の発生
1. ヒメトビウンカは3〜4令幼虫で牧草、雑草地で越冬し、5月中旬頃から麦ほ場に移動飛来して、年2〜3世代経過する。
2. 麦ほ場への飛び込みはほ場全般にわたり、麦北地モザイク病の発病分布もほ場全般発生した。
3. 麦北地モザイク病の発病推移に2つのピ−クがみられ、ヒメトビウンカの消長と同様の傾向を示し、関連性のあることが認められた。
4. 麦北地モザイク病が麦の生育に及ぼす影響は生育初期の発病ほど大きく、従ってヒメトビウンカの発生初期の防除が重要である。
麦北地モザイク病の発病抑制
1. ヒメトビウンカの殺虫効果、ならびに発病抑制効果は、土壌処理ではダイシストン、ジメトエ−ト、サンサイド粒剤が有効である。
播溝上処理ではダイアジノン粒剤が有効であった。なお、ダイシストン、サンサイド粒剤もダイアジノン粒剤よりやや劣るが有効と思われる。
2. 施用方法は、春播麦はヒメトビウンカの発生期間が長いため、土壌施用+発生盛期施用または発生初期施用の2回処理が必要で、秋播小麦は土壌施用、または発生初期施用のいずれか1回処理で十分である。
3. 1回の施用量は10a当り4kgが必要と考えられる。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
ヒメトビウンカの発生消長と防除時期
薬剤種類別発病抑制効果 (昭和45〜46年)
供試薬剤 | 処理法 | 麦北地モザイク病発病株率(%) | ||
えん麦春試験 | えん麦夏試験 | 秋播小麦 | ||
ダイシストン 5% 粒剤 | 土壌処理 | 6.4 | 1.09 | 3.8 |
ジメトエ−ト 5% 粒剤 | 〃 | 5.7 | 9.7 | − |
サンサイド 5% 粒剤 | 〃 | 8.1 | 10.0 | − |
ダイシストン 5% 粒剤 | 播溝上処理 | 2.4 | 4.6 | 1.3 |
ジメトエ−ト 5% 粒剤 | 〃 | 7.0 | 8.9 | 2.4 |
サンサイド 5% 粒剤 | 〃 | 6.0 | 5.2 | − |
無処理 | − | 23.7 | 42.8 | 19.5 |
区 別 | 麦北地モザイク病発病株率(%) | |||
えん麦 | 秋播小麦 | |||
播溝処理 |
|
|
8.0 | 13.5 |
|
発生初期処理 |
|
5.0 | 6.3 |
|
|
発生盛期処理 | 11.8 | 45.9 |
播溝処理 |
|
発生盛期処理 | 7.7 | − |
|
発生初期処理 | 発生盛期処理 | 2.7 | − |
茎葉散布 | 8.4 | − | ||
無処理 | 25.5 | 86.8 |
・ 注意
現行の有機りん剤使用上の注意に準ずる。