【指導参考事項】
てん菜萎黄病(Byv.Beyv)と媒介昆虫(アブラムシ類)の関連防除試験成績
(総合助成 44〜46年)                      道立北見農試

・ 目 的
 てん菜萎黄病(Byv.Beyv)とその媒介昆虫であるアブラムシの発生生態を明らかにし、防除対策を確立する。

・ 試験方法
 Ⅰ. アブラムシ類の消長とてん菜萎黄病(Byv.Beyv)の発生
  試験場所    常呂郡訓子府町、道立北見農試、網走支庁管内
  供試品種    てん菜「ボリラ−ベ」「カ−ベエルタ−」母根「数種混合」
  播種月日    44年4月29日、45年5月3日、46年4月24日
  母根植込    44年6月19日、45年5月10日、46年4月24日
  施肥その他   当場標準耕種法
  調査方法    アブラムシは30株、150株の有翅、無翅別。同定用アブラムシは原料てん菜より採集。Byv.Beyvは全株。実態調査ほ場全体の発生状況、発病株率。
 Ⅱ. 媒介昆虫(アブラムシ)の防除による病害の防除効果
  現地試験    女満別町中央および大東、一般耕種法
  農試ほ場試験 試験Ⅰに同じ。アブラムシは10株100葉

・ 試験成績概要
 1. アブラムシの発生は6月中旬、7月中旬に最盛期となり10月に終息。
 2. てん菜に寄生するアブラムシは主としてモモアカアブラムシである。
 3. 採種てん菜の病微は6月下旬、一般では7月中下に見られる。
 4. 早期発病はど減収し、発病株率100%ほ場では40〜50%減収。
 5. 網走支庁管内では17市町村で発生。
 6. チオメトン流剤5%IPSP204粒剤、5%の4〜5kgを6月中旬の茎葉施用が有効。また、ベンゾエピン乳剤30%500倍を6月〜7月に2〜4回散布。有効根重は10〜30%可製糖量は10〜50%増収。
 7. チオメトン流剤およびベンゾエピン乳剤の薬害は認められない。IPSP粒剤は若干薬害が認められることがある。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 1. モモアカアブラムシの発生消長と寄生割合 (45年度)
  6.11  .21 7 .1  .11  .21  .31 8.10  .20  .31 9.10  .21 10.1


原料用 0 14 31 410 542
(2)
5
(1)
2 1 2 2 14 (1)
9
母根用 0 0 3 62 413 32 0 11 0 0


有 翅 0 0 100
無 翅 0 88 100 100 100 100 100 100 100

 2. 発病時期と収量 (45年)
品種   7.21  .31 8.10  .20  .31 9.10  .21 22〜 健全
カ−ベ 発病率 % 0.1 0.3 4.8 8.9 13.2 15.8 21.7 31.5
エルタ− 可製糖量 % − 54 54 62 57 67 73 100
ポリ 発病率 % 0.2 1.5 8.0 11.8 15.7 15.7 26.3 37.8
ラ−ベ 可製糖量 % − 56 61 74 72 67 81 68 100

 3. 管内における発病実態 (44〜46年)
  調査市町村数 発病確認市町村数 調査ほ場数 発病確認ほ場数 平均発病株率(%)
44年 17 6 84 17 3.3
45年 18 6 60 10 11.9
46年 21 8 75 43 23.6

 4. 薬剤のアブラムシに対する効果および発病抑制効果
  イ. 46年度 女満別町
  アブラムシ
7月16日
発株率比
10月1日
マリックス乳剤2回 1 23%
ホスベル乳剤2回 8 100
ホスベル乳剤2回
1

18
PSP204粒剤1回
除外区 15 146

  ロ. 46年度 農試ほ場
  アブラムシ比
7.21
発病率比
10.4
根重比
2
0
4

6   11 37 117
6 6 11 26 125
  4 17 53 116
6 22 56 123
6 6 19 77 111
ダイジストン粒6 10 43 124
ホマトン粒6 31 83 104
マリックス4回 7 33 131
ホスベル4回 29 66 114
無施用 100 100 100

 5. 発病株率と収量 45年
  根重比(%) 可製糖量比(%)
100%発病 62 48
50% 〃 85 74
0%  〃 100 100

・ 注意
 1. ホスベル剤はアブラムシに対する効果が劣るので注意する。
 2. PSP204粒剤は薬害が出る場合があるので注意する。