【指導参考事項】
菜豆の「かさ枯病」無菌種子の効果について 中央農試原々種農場 病害部 十勝農試・北見農試 |
・ 目 的
無菌種子の緊急増殖事業を実施し、5ヶ年を経過し農家の更新も3ヶ年を迎えたので、その効果を知ろうとする。
・ 調査方法
菜豆生産地の十勝、網走両支庁管内、各5ヶ町村を選び
1. 採種ほ産 2. 足踏1年目 3. 在来の区分に従い、第1回(6月下から7月上旬) 第2回8月上中旬の2回にわたりかさ枯病発病株率、発病度を調査した。
・ 調査成果の概要
1. 第1回目調査で発病株率は、採種ほ産種子使用区では、皆無在来種子使用区では49.5%と無菌種子の効果は大きいことが認められた。
2. 第2回目調査では、第1回目発病の皆無であった採種ほ産種子使用で40.8%の発病を見た。これが原因として次の事項が掲げられる。
イ 初期発病がないため薬害防除をおこたった。
ロ 本年は発芽後、霜害を被り補播に自家産種子を使用した。
ハ 無菌種子が不足のため、自家産種子を同一ほ場に使用した。
ニ 隣家の自家産種子使用ほ場が隣接していた。
足踏種子で53.6% 在来種子では93.9%の発病が認められた。
3. 異常のことから無病種子緊急増殖事業による採種ほ産種子の効果は大きいが、環境が不良の場合はその成果は半減する。
・ 主要成果の具体的デ−タ−
第1回目調査発病株率
発病株率 /支庁名 /区別 |
0 | 0.1 〜 2.5 |
2.6 〜 5.0 |
5.1 〜 7.5 |
7.6 〜 10.0 |
10.1 〜 12.5 |
12.6 〜 15.0 |
16.0 以上 |
計 | |
採 種 ほ 産 |
十勝 | 7 | 4 | 1 | 12 | |||||
網走 | 6 | 3 | 1 | 10 | ||||||
計 | 13 (59.7%) |
7 (31.8%) |
1 (4.5%) |
1 (4.5%) |
22 | |||||
足 踏 一 年 目 |
十勝 | 6 | 7 | 1 | 14 | |||||
網走 | 7 | 3 | 2 | 1 | 1 | 14 | ||||
計 | 13 (46.4%) |
10 (35.7%) |
3 (10.7%) |
1 (3.6%) |
1 (3.6%) |
28 | ||||
在 来 |
十勝 | 2 | 8 | 3 | 3 | 16 | ||||
網走 | − | 7 | 2 | 8 | 17 | |||||
計 | 2 (6.1%) |
15 (45.5%) |
5 (15.1%) |
11 (33.3%) |
33 |
区別 | 支庁名 | 被害株率 | ||||||
0 | 0.01〜0.10 | 0.11〜0.50 | 0.51〜1.00 | 1.11〜1.50 | 1.51以上 | 計 | ||
採 種 ほ 産 |
十勝 | 12 | − | − | − | 12 | ||
網走 | 10 | − | − | − | 10 | |||
計 | 22 (100%) |
− | − | − | 22 | |||
足 踏 一 年 目 |
十勝 | 14 | − | − | − | 14 | ||
網走 | 12 | 1 | 1 | 14 | ||||
計 | 26 (93%) |
1 (3.5%) |
1 (3.5%) |
28 | ||||
在 来 |
十勝 | 8 | 4 | 2 | 2 | 16 | ||
網走 | 9 | 2 | 3 | 1 | 1 | 1 | 17 | |
計 | 17 (51.5%) |
6 (18.2%) |
5 (15.1%) |
3 (9.1%) |
1 (3.0%) |
1 (3.0%) |
33 |
発病株率 /支庁名 /区別 |
0 | 0.1 〜 10.0 |
10.1 〜 20.0 |
20.1 〜 30.0 |
30.1 〜 40.0 |
40.1 〜 50.0 |
50.1 〜 60.0 |
60.1 〜 70.0 |
70.1 〜 80.0 |
80.1 〜 90.0 |
90.1 〜 100.0 |
|
採 種 ほ 産 |
十勝 | 7 | 2 | 3 | ||||||||
網走 | 6 | 3 | 1 | |||||||||
計 | 13 | 5 | 3 | 1 | ||||||||
足 踏 一 年 目 |
十勝 | 6 | 3 | 3 | 2 | |||||||
網走 | 7 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 | ||||||
計 | 13 | 4 | 5 | 4 | 1 | 1 | ||||||
在 来 |
十勝 | 2 | 3 | 4 | 6 | 1 | ||||||
網走 | 5 | 3 | 1 | 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | ||||
計 | 2 | 8 | 7 | 7 | 4 | 2 | 1 | 1 | 1 |
・ 注意事項
○無菌種子使用一般栽培上の注意
1. 無菌種子は他の種子との接触混合をしない。
2. 連作をさける。
3. 必ず、カスガイマシン剤で種子粉衣する。
4. 汚染ほ場から隔離する。
5. 生育期に2〜3回銅剤を散布する。
菜豆は増殖率が低いので自家採種する場合は次の事項に注意すること。
無菌種子採種ほ場管理上の注意
上記栽培上の注意に加え次のことを厳守する。
1. 採種は汚染種子の栽培していない地区で行う。
2. 必ず無発病ほ場から採取した種子を使用する。
3. 早期から見回り、発病のあった場合は、発病株の周囲の株も早期に抜取り処分する。
4. 農作業および脱殻にあたっては発病地のものと接触をさけ、また、農機具を消毒清掃するなどして汚染を防止する。
5. 薬剤散布は発芽期より10日おきに収穫まで生育期間の防除を徹底する。