【指導参考事項】
積雪寒冷地帯における肉用牛の簡易越冬に関する試験成績 (春分娩雌牛の施設処理飼養効果と哺乳子牛の発育に及ぼす影響について) (昭和43〜45年) 新得畜試 肉牛科 |
・ 目 的
積雪寒冷地帯における肉用牛生産経営における越冬施設費の軽減を目標として繁殖成雌牛の退官性能並びに子牛の発育調査を行い飼養法、施設改善を通じて経営合理化を図る。
・
試験方法
年次 | 供試 品種 |
処理別頭数 | |||||
閉鎖畜舎 | 開放畜舎 | シェルタ−(Ⅰ) | シェルタ−(Ⅱ) | シェルタ−(Ⅲ) | 計 | ||
43 | H種 | − | 5 | 5 | − | − | 10 |
44 | 〃 | 5 | − | 5 | 5 | 5 | 20 |
45 | 〃 | − | 5 | 5 | 5 | − | 15 |
計 | 5 | 10 | 15 | 10 | 5 | 25 |
・ 主要成果の具体的デ−タ
(1) 体重推移(越冬明修正値)
昭和43 | 昭44 | 昭45 | ||||||
処 理 | 開始時 (12.9) |
越冬明 (3.2) |
処 理 | 開始時 (12.22) |
越冬明 (4.12) |
処 理 | 開始時 (12.21) |
越冬明 (3.28) |
開放畜舎区 シェルタ−区(Ⅰ) |
閉鎖畜舎区 | 100 | 95.4 | |||||
100% | 101.9 | シェルタ−区(Ⅰ) | 100 | 96.6 | 開放畜舎区 | 100 | 104.5 | |
100% | 101.4 | シェルタ−区(Ⅱ) | 100 | 93.0 | シェルタ−区(Ⅰ) | 100 | 100.3 | |
シェルタ−区(Ⅲ) | 100 | 89.3 | シェルタ−区(Ⅱ) | 100 | 96.8 |
昭43 | 昭44 | 昭45 | |||||||||
処 理 | DM | DCP | TDN | 処 理 | DM | DCP | TDN | 処 理 | DM | DCP | TDN |
閉鎖畜舎区 | 102.3 | 123.2 | 92.7 | ||||||||
開放畜舎区 | 127.6 | 122.2 | 115.3 | シェルタ−区(Ⅰ) | 107.4 | 129.6 | 97.4 | 開放畜舎区 | 126.3 | 120.7 | 114.3 |
シェルタ−区(Ⅰ) | 128.8 | 123.2 | 116.3 | シェルタ−区(Ⅱ) | 88.5 | 106.8 | 80.2 | シェルタ−区(Ⅰ) | 130.3 | 124.3 | 117.9 |
シェルタ−区(Ⅲ) | 69.6 | 83.5 | 63.0 | シェルタ−区(Ⅱ) | 111.2 | 106.1 | 100.6 |
・ 指導上の注意事項
(1) 肉用繁殖雌牛(春分娩)の畜舎は防寒防雪用施設として考える場合、最低限の費用でよくその限界は耐用年数並びに畜舎の省力管理機能との関連で検討すべきである。
(2) 繁殖用雌牛の冬期飼養法は、乾牧草自由給飼可能な条件下では、(採食量1日1頭当り10.5kg、TDN45%程度)養分要求量に対しTDN115%摂取可能で乾牧草単用でも栄養状態良好で越冬可能である。乾牧草を制限給与せざるを得ぬ場合は当然補助飼料を用いるべきである。
(3) 黒毛和種雌牛を供試していないので早急に試験を必要とするが畜舎施設についての基本的な考え方は変わらない。養分要求量は概ね同じであるから採食量並びに乾牧草品質が上記のものより劣る場合は補助飼料を給与すべきである。
(4) 本試験は春分娩(3月中心)に主力をおいた試験で厳寒期1〜2月分娩牛などは分娩室収容が当然であるし、施設増加を必要とする。3月の屋外分娩の場合は分娩位置並びに哺乳確認など十分な看視が大切である。