【指導参考事項】
肉豚肥育における自給飼料利用に関する試験成績
(昭和38〜45年)
滝川畜産試験場 飼養科

・ 目 的
 本道の畑作複合型養豚経営における自給飼料(まめ科牧草サイレ−ジ、馬鈴薯サイレ−ジ、ビ−トトップサイレ−ジ)を高度に用いた肉豚用飼料給与基準を設定する。

・ 試験方法
 1. まめ科牧草サイレ−ジの給与試験
  1) 肉豚肥育における給与限界の検討=0%、20%、40%、60%
  2) 豚の品種別における利用性の比較=Y、L、YL、YH
  3) サイレ−ジ多給時における熱量の補正=生米ぬか、とうもろこし、澱粉、動物性油脂
  4) 熱量補正のための動物性油脂の添加率の検討=0%、10%、15%、20%
  5) まめ科牧草サイレ−ジに併用する動物性油脂の種類の検討=ファンシ−タロ−、イエロ−グリ−ス、
     マントンタロ−、ラ−ド
  6) 肉質改善のための併用濃厚飼料の利用=配合、大麦、ふすま、澱粉かす
  7) 肉豚の発育過程とまめ科牧草サイレ−ジの給与適量
 2.  馬鈴薯サイレ−ジの給与試験
  1) 肉豚における給与限界の検討=0%、20%、40%、60%
  2) 豚の品種別における多給時の蛋白質補正=大豆かす、魚かす、FS
 3. ビ−トトップサイレ−ジの給与試験
  1) 豚の品種別における利用性の比較=Y、L、H、YH、YL


・ 試験成果の概要
 1. まめ科牧草サイレ−ジの給与限界は風乾物で40%が限度である。
 2. 熱量補正飼料としては動物性油脂が適し、その添加率は10〜15%で、動物性油脂の種類はファンシ−タロ−が優れていた。
 3. 肉質改善のためには大麦が適していた。
 4. 体重40kgめではまめ科牧草サイレ−ジの給与率を低くし、体重50〜70kgの間に多給した方が発育が良好であった。
 5. 馬鈴薯サイレ−ジの給与限界は風乾物で40%が限度である。
 6. 蛋白質の補正飼料としては大豆かすが適していた。
 7. ビ−トトップサイレ−ジは雑種における利用性が良好であった。

・ 主要成果の具体的デ−タ
 1. まめ科牧草サイレ−ジの給与試験
   (動物性油脂の添加率)
区  分 20〜90kg
所要日数
(日)
1日平均
増体量
(g)
サイレ−ジ
の採食率
(%)
飼料費
(円)
背脂肪層の
厚さ
(cm)
脂肪の融点
(℃)
対照区 111 649 −% 9.914 2.53 24.7
無添加区 115 610 40.0 7.327 2.42 23.8
10% 区 105 672 39.8 7.617 2.89 23.1
15% 区 108 666 38.6 8.405 2.73 19.3
20% 区 105 679 39.0 8.639 2.99 18.5

 2. 馬鈴薯サイレ−ジの給与試験
   (たんぱく質の補正)
区  分 20〜90kg
所要日数
(日)
1日平均
増体量
(g)
サイレ−ジ
の採食率
(%)
飼料費
(円)
背脂肪層の
厚さ
(cm)
脂肪の
ヨウ素価
(g)
対照区 129 564 41.7 7.564 3.09 51.18
大豆かす区 117 598 42.7 7.515 3.25 51.03
魚かす区 148 489 42.6 9.100 3.27 53.45
F S 区 141 516 39.5 8.539 3.38 58.50

・ 奨励叉は指導参考上の注意事項
 1. まめ科牧草サイレ−ジは体重40kgまでは給与率を10%〜20%とし、体重50〜70kgの給与率は50%とした方が発育が順調である。
 2. ラジノクロ−バをサイレ−ジに調整する時、サイロの水抜を完全にし、重石が十分であれば予乾、添加物は特に必要ない。
 3. ビ−トトップサイレ−ジはタックサイロ、トレンチサイロに調整するのが凍結防止によく、給与前にチョッパ−で細切すると採食は良好となる。