【指導参考事項】
放牧地の排糞処理用具(パスチャ−ハロ−)の考案
新得畜試 馬産科

・ 目 的
 放牧地内の排糞処理には適切な方法がなく、古タイヤ・チェ−ン等を牽引するか。人力による等の処理しかなかったが、これを省力化に且つ拡散効果をあげるためである。

・ 材料と作製方法
 1. 材料
  古タイヤ4本、10cm角長さ3.5mの木材1本、太さ6mmのワイヤ−ロ−プ約13m、太さ15mm直径10cm程度の鉄輪1ヶ
 2. 加工用具
  半径約7mmのツボ錐、薄めで先の尖った刃物、脚が長めのカスガイ2ヶ、丈夫なゴム紐約3m、その他手道具若干
 3. 作成方法
  古タイヤの外周に予めジグザグに目印をつけその頂点に孔をあけ、先の尖った刃物に軽油をつけてこの孔を切り結ぶ。
  鋸歯状に半載されたタイヤの前方に引き木、更にその前方に牽引カンをそれぞれワイヤ−ロ−プで結びつける。

・ 試験成績の概要
 牽引テスト
処理 重量(kg) 牽引抵抗(kg) 作業巾(cm) 原動機 作業速度(km/hr)
全巾 有効巾

A 125 130〜140 400 400 B450トラクタ− 5速 11.6
B 160 170〜180 390 335 4速 7.5
P 90 110〜115 390 335 4速 7.5

 拡張テスト
処理
     縦×横×厚さ(vm)
糞形状────────
       重 量(g)
糞塊の拡散程度 1時間当り
作業面積
(hr)
備 考
作業前 作業後 紛砕率(%) 移動距離(m)

A   25×25×35
>──────
   160×300
10×8×3
────
 10〜15
52 0〜2 約3.0 糞形状の寸法は
最高値を示す。
B 10×10×3
─────
 10〜20
36 0〜1.5 2.5
P 5×4×2.5
─────
  8〜10
84 5〜7 2.5
  注) 処理Aはダブルチェ−ン
        Bは丸タイヤ
        Pは本機を示す

・ 普及指導上の注意事項
 1. 作業能率を高めるタイヤを前列5本、後列4本に増数することも考えられる。
 2. 放牧地の草丈が約20cm以上になると拡数効果が悪くなるので、早春時叉は転牧直後に作業をおこなうことが望ましい。
 3. 放牧地の表層剥離を防止するためには、短期間内の過剰反覆利用に注意する。
 4. 本機を追肥作業機と併用する場合には作業巾に適合するように肥料の散布量を調整すればよい。
 5. 本機の応用法
  (1) 整地作業にレバ−ハロ−の代用として効果的である。
  (2) 冬期において2〜3ヶ継ぎ合わせて牽引すると雪道付けに効果的である。