【指導参考事項】
水稲紙筒ばらまき裁植に関する試験
1. ばらまき裁植における労力調査
(昭和46〜47年)  中央農試稲作部

・ 目 的
 人力ばらまき移植における労力の実態を明らかにする。

・ 試験方法
 1. 育  苗 貫通根防止には、寒冷紗150#をPCP20倍溶液に浸漬したものを用いた。紙筒はR3(20筒×40筒)を用いる。
作業順序は設置床に貫通根防止用寒冷紗を敷き、紙筒を展開用設置後土詰めを行い潅水により土を沈下させる。播種は紙筒用播種板で行い、覆土をそて紙筒上縁が見えるまで鎮圧。
 2. 移植作業 苗とりは1掴み60〜80株のポット苗を取り上げ、根部を上向きにして苗をほぐす。運搬及びばらまきは肥料用のポリ容器(約1000株入)に苗を入れて行う。ばらまき作業は巾36m、長さ87m、30ア−ルの水田を用いた。

・ 試験成果の概要
 1. ばらまき用紙筒苗の播種作業は、紙筒苗機械移植用の播種作業時間である2時間15分(昭和45年道農産園芸
   課発行新機械地域適応性調査報告書   による)よりも短い1時間29分であった。
 2. ばらまき用紙筒苗の紙筒展開は、紙筒を3冊程度につなぐことにより、展開時間を短縮できる。
 3. ばらまき移植時間は、10a当り40〜60分程度で、手植の8時間、機械移植の1時間8分に比べて短時間である。 
 4. ばらまきの苗取りは、紙筒苗1個1個に分離するため、苗ほぐしに長日間を要する。苗ほぐしは、熟練度や紙筒
   の紙質、育苗方法により異なるのでこ
   の点の究明を要する。

・ 試験成果の具体的デ−タ
 播種作業(昭46)
 作 業 名 本田10a相当所要時間 備  考
寒冷紗のPCP溶液浸漬 6分15秒 昭45 道農産園芸課発行
「新機械地域適応性実験調査報告書」による
機械移植用播種作業時間
2時間15分
寒冷紗床面セット 4分10秒
紙筒展開土詰 17分50秒
培地のかん水沈下 9分22秒
播   種 24分52秒
覆土鎮圧 26分45秒
合   計 1時間29分14秒

 ばらまき作業
作業名 10a当り所要時間 備  考

A 機械植用紙筒 4時15間分 1時間50分 紙筒苗手植時間
苗取り30分 移植8時間15分

田植機械の実作業能率(9機種平均)
8.8a/hr
(昭和46 中央農試農業機械部成績)
B ばらまき用紙筒 1分



ア 畦畔からばらまき 10分 42分
イ 水田中央からばらまき 58分


Aとアの組合せ  4時間55分 2時間32分
Bとアの組合せ 43分
  注) 苗取りAは機械移植用紙筒  ばらまきイは畦畔よりBは水田中央部
         Bはばらまき用 〃

・ 普及上の注意
 設置床への買入根防止のための下敷きには下紙、PCP、PCP溶液寒冷紗いずれでもよいが、止むを得ず床土に砂質土を用いる場合には下紙を用いることがよい。