【指導参考事項】
水稲紙筒ばらまき移植に関する試験
3. ばらまき苗の倒伏
(昭和46〜47年)   中央農試稲作部

・ 目 的
 1. 植付姿勢と倒伏 区の構成
 ① +1.0cm区…植付姿勢を直立にして、稈基先端部を1.0cm土中に挿入したもの
 ② ±0cm   …地表面と同位置にしたもの
 ③ −10cm区…地表面より1.0cm高くしたもの
 ④ 横転区  …紙筒を地表面に水平に置いた供試品種は「ゆうなみ」「イシカリ」「石狩白毛」裁植密度M2当り25株正方形植え、
    区の接する2状を登熟初期に刈り取る
 2. 裁植密度および様
   式を倒伏
M225株1株3本立てとM215株1本立て、M230株3本立て90株1本立て区、対照区(M225株3本の広巾並木植)植付深さは1.0cm


・ 試験結果
 1. 地上部のモ−メントはゆうなみ<イシカリ<石狩白毛で、石狩白毛はゆうなみの4培にたっした。
 2. 倒状程度は極淺植区である−1.0cmが大きく、+1.0cm区は少なく横転区と±0区は大差なかった。
 3. 品種の倒状は「石狩白毛」>「イシカリ」>「ゆうなみ」の傾向にあり、品種特性としての耐倒伏性に反しモ−メントと   一致した。
 4. 稈が軟弱化して起こる倒状について挫折重からみた倒伏抵抗度の高いものは、ばらまき様式の25株3本立てであって、直播散播的な1本立て区はいずれも低い。
 5. 荷重であるモ−メントとは挫折重と逆の傾向にあって、直播散播的な1本立て区が小さく、30株3本立てが大である。
 6. Moment/挫折重で表す倒伏抵抗指数は、並木植25株=散播25株<散播75株1本立<同90株1本立て<同30株でこれは成熟期における倒伏程度とほぼ一致した。
 7. 紙筒苗のように、面積当り植え本数を集中分布として株数を感じたものは、直播散播に見られるように均斉分布にして株数増にしたものに比べて座折抵抗が高く、また、ばらまき栽培は稈質面では慣行並木植に比べて決して倒状に弱くない。

・ 試験成果の具体的デ−タ
 第1表 植付姿勢と倒伏程度(昭47年9月6日分)
品種名 ゆうなみ イシカリ 石狩白毛
植付姿勢 Moment 倒伏指数 Moment 倒伏指数 Moment 倒伏指数
直立+1.0cm 364 0.4 387 1.2 1287 12.0
 〃 ±0 285 3.3 386 5.3 1166 26.0
 〃 −1.0 290 15.2 372 15.0 1387 48.0
横 転 304 1.9 457 3.2 1172 33.3

 第2表 裁植様式による生育差と倒伏(昭47年)
項目/
区別
M2当り
穂数
10a当り収量 9月20日 調査 倒伏程度
総重量
(kg)
玄米重量
(kg)
座折量
(g)
Moment Mone/座折重 倒伏 なびく
並木植 25株 680 1178 594 284 222 0.78 33 30



25株×3粒 728 1373 668 307 240 0.78 43 20
75×1 818 1225 597 231 197 0.85 60 30
30×3 633 1393 660 280 259 0.93 80 17
90×1 882 1305 600 210 190 0.93 97 3
F値     16.12** 4.73*        

 ・ 普及上の注意
 過密植の場合が多いので、短稈強稈品種を用いること。