【指導参考事項】
水稲紙筒苗ばらまき水田の収量性実態調査
5. ばらまき水田の収量性実態調査
(昭和46〜47年)  中央農試稲作部

・ 目 的
 ばらまき栽培水田の収量の実態を検討するために当稲作部の一般圃場と現地農家圃場を対象に調査した。

・ 試験方法
 1. 稲作部亜泥炭土水田 5月18日ばらまき移植 調査対象水田面積5ア−ル刈取場所15ヶ所 1ヶ所当り刈取面積2.0M2対照区隣接水田5月17日に移植紙筒苗の慣行様式手植(条間30cm)移植5月17日刈取個所数5ヶ所1ヶ所2.0M2刈取り
 2. 稲作部沖積土水田 6月2日ばらまき移植 調査対象水田面積2.5ア−ル刈取個所数30ヶ所 1ヶ所当り1.0M2刈取対照区隣接水田5月29日移植 早播熟苗(条間30cm)刈取個所5ヶ所1ヶ所当り2.0M2刈取  
 3. 農家圃場
   雨竜郡秩父別町17区
   杉本弥一朗氏圃場
6月1日ばらまき調査対象面積5.0ア−ル刈取個所数40ヶ所1ヶ所当り1.0M2刈取対照区5月29日移植の紙筒苗手植水田1ヶ所3.0M2刈取り
   品   種 「ゆうなみ」刈取り方法 円形刈


・ 試験結果
 1. 倒伏はばらまき水田と対象手植区と差は認められなかった。
 2. M2当り平均株数は稲作部亜泥炭が28.6株、沖積土水田が51.8株、杉本圃場が31.8株であって標準偏差は、杉本圃場が小さく稲作部沖積田が大きかった。
 3. 穂数は株数との相関が高くいずれも平均穂数で550本に達し、特に稲作部沖積では750本を有した。
 4. 玄米収量は3場所とも600kg/10a程度の収量で対照区に比べると、稲作部沖積土が極めて多収であった他は大差ない。
 5. 収量の変動係数は株数及び穂数の変動係数に比べると小さい。また、稲作部亜泥炭は穂数の変動係数が極めて大きかったために収量の変動係数も大きかった。
 6. 米質は沖積土水田の対照が早播熟苗であったためにばらまき青米が多く、杉本圃場はばらまきに旱魃被害が大きかったために死米が多い。
 7. 穂数と収量の相関はばらまき株数が少なかった稲作部亜泥炭土水田が極めて高い。

・ 試験成果の具体的デ−タ−
 第1表 一般栽培におけるばらまき実態調査 (昭47)

区別 項目 1株穂数
(本)
1M2当り 屑米歩合
(%)
青米歩合
(%)
死米歩合
(%)
株数 穂数 精玄米重





標準植 Mean 24.9 22.4 552 593 4.2 16.3 2.6
S 2.1 0.9 53.5 21.0 3.0
ばらまき Mean 22.0 28.6 587 597 2.2 13.1 2.3
S 2.9 6.5 80.1 59.3 3.8



標準植 Mean 27.8 20.0 556 557 3.0 11.5 2.1
S 2.1 1.4 18.8 29.6 5.6
ばらまき Mean 15.0 51.8 752 613 4.3 19.1 3.4
S 2.6 11.9 81.0 53.0 5.6



標準植 Mean 29.4 18.4 543 627 5.3 21.3 6.3
ばらまき Mean 19.6 31.8 610 637 3.8 4.4 18.6
S 2..7 5.1 49.1 49.6 1.7


 図1. ばらまき水田のM2当り穂数を収量との関係

     M2当り総数(×10)

 第2表 諸形質の相関係数
  稲作部
亜泥炭土
稲作部
沖積土
秩父別町
株数×穂数 0.630* 0.745** 0.517**
株数×玄米重 0.635* 0.530** 0.324*
穂数×玄米重 0.921** 0.465** 0.686**

・ 普及上の注意