【普及奨励事項】
・　 品種関係
てん菜遺伝的単胚品種「Monohill」に関する試験成績
（昭和45年〜昭和47年）
てん菜研究所・北海道立農業試験場

・　育種目標
　多収高糖性の遺伝的単胚品種を育成する。

・　来　歴
　Monohillはスウェーデンのヒレスヘグ種子会社で育成した3倍体の遺伝的単胚品種である。
　昭和45年に北海道糖業株式会社が輸入して、てん菜研究所と北海道糖業株式会社とで輸入品種特性検定試験をおこなったが、単胚品種の中では特に良い成績を示したので、昭和46年には系統適応性試験に供試した。この年にはてん菜研究所、道立十勝農試および北見農試と製糖各社の7ヶ所で試験をおこなった。昭和47年には11ヶ所で系統適応性検定試験をおこない、同時に27ヶ所で育成系統現地検定試験をおこなった。
　またてん菜研究所において褐班病抵抗性検定試験ならびに育成特性調査をおこなった。

・　特　性
　Monohillは3倍体の遺伝的単胚品種で、草丈は低く、根型は円錐形である。熟期は早生である。
　褐班病に対する抵抗性は弱く、Soloraveと同程度である。
　根重はSoloraveや、Kawemegamonoより高く、多収性である。
　糖分はやや低く、SoloraveやKawemegamonoと同程度である。


・　主要な具体的データ
　昭和46年および47年の系統適応性検定試験
品種 昭和 てん菜研究所 北海道立農試 平均 対てんけん1号 2ヶ月平均
中央 上川 天北 北見 十勝 根釧

　根重
1 Monohill 46 5.01 − − − 3.87 4.27 − 4.38 115 113
47 5.03 6.35 4.05 3.49 5.45 4.55 4.37 4.76 111
2 Solorave 46 4.74 − − − 3.66 3.94 − 4.11 108 105
47 4.61 5.49 3.86 3.21 4.84 4.35 4.26 4.37 102
3 Kawemeg-amono 46 4.61 − − − 3.28 3.89 − 3.93 103 103
47 4.7 5.73 3.96 3.05 5.03 4.27 4.26 4.43 103
4 てんけん1号 46 4.39 − − − 3.11 3.95 − 3.82 100 100
47 4.32 5.77 4.15 3.18 4.61 4.32 3.8 4.29 100
5 Kawepoly 46 4.72 − − − 3.74 4.09 − 4.18 109 107
47 4.8 6.05 3.89 3.28 4.9 4.34 4.09 4.48 104
6 T1013 46 − − − − − − − − − −
47 4.91 6.33 4.13 3.3 4.99 4.26 4.22 4.59 107

　根中糖分
1 Monohill 46 15.77 − − − 16.73 17.84 − 16.78 103 101
47 15.48 16.36 16.86 14.86 16.13 16.62 15.85 16.02 99
2 Solorave 46 15.69 − − − 16.17 17.52 − 16.46 101 100
47 15.08 16.36 16.86 15.31 16.03 16.55 15.95 16.02 99
3 kawemeg-amono 46 15.67 − − − 16.68 17.7 − 16.68 103 101
47 15.21 16.13 16.99 15.34 15.88 16.56 16.5 16.02 99
4 てんけん1号 46 15.43 − − − 15.97 17.31 − 16.24 100 100
47 15.61 16.75 16.76 14.98 16.1 16.67 16.27 16.16 100
5 Kawepoly 46 16.06 − − − 16.78 18.2 − 17.01 105 104
47 15.7 16.8 17.13 15.58 16.73 16.94 16.74 16.52 102
6 T1013 46 − − − − − − − − − −
47 15.85 17.27 17.2 15.68 16.8 16.87 16.95 16.66 103

・　適応地帯ならびに栽培上の注意
　Monohillは主として道東などの褐班病の発生の少ない地帯およびこれに準ずる地帯に適し、移植および直播の省力栽培に適する。
　褐班病に弱いので、その防除の徹底を期すこと。