【指導参考事項】
メロンの品種および系統選抜に関する試験
(昭和44〜47年)  中央農試 園芸部 (山谷 吉蔵)

・ 育種目標
 北海道で現地栽培されている品種は利点も多いが食味、日持ち、外観等の欠点もあるので夏どり用及び貯蔵性のある品種、系統について比較し本道に適する品種を選定する。特に従来の鮭肉色の外白肉、緑肉のものが育成されているのでそれ等についても検討する。

・ 来 歴
山形県園芸試験場育成(シルク、デーリー)農林省園芸試験場育成(サンライズ)
東京シード育成(強力エース、キング、キング3号、ほまれ、ホープ)
大学農園育成(オリンピアG、オリンピアS、キンググリーン、スーパーキング)
みかど育種農場(ナポレオン)坂田種苗(ピース)
萩沢育種農場(北海エース、フレッシュ)

・ 特 性
 ○スパーキング=鮭肉色で熟期が早く、大果で収量も多いがブリックスの安定が悪く低温にも弱い欠点がある。大学農園育成、アールス系×スパイシー系
 ○デーリー=ウドンコ抵抗性があり、ブリックスが安定しており、低節位に着果し、収穫日も早いが、やや小果で収量も低い、低温年に異臭がでることがある。鮭肉色山形園試育成パール×ジョージャ47号 
 ○シルク=白色でブリックスが安定しており、特に海岸地方で良品を産している。但し収量が少い欠点がある。山形園試育成、パール×米国青肉メロン
 ○オリンピアS=白肉でやや小果果肉が厚く、ブリックスが安定しており収量は稍々少い、大学農園育成パール×スパイシー系
 ○札幌キンググリーン=ブリックスが安定し、稍々小果で収容が少い。草勢は強い緑肉である、大学農園育成、アールス系×ロッキーフォード系
 ○北海エース=やや小果で収量が少いが果形とネットの発現が良い緑肉である。萩沢育種場育成×アールスハネデユ×青肉野生穂
 ○ホープ=ネットなしの淡緑色の肉で、肉質がよく貯蔵に適する香気があり食味も良い東京シード育成アールス系×キャンタローブハネデユー固定種

・ 主要な具体的データ
低温伸長性(15℃以下)(44〜45年)
                 枯死率 ◎30%以下 ○30〜50% ×50%以上



























































































× × ×

・ 主要品種比較(45年)
品種名 草丈(cm) 節数 収穫日 着果節位 病害程度 収量 1果平均量 ブリックス 果肉の厚さ 果形指数
夕張キング 331 46 8.31 12 ベト
タソン
454 1,640 15.9 2.5 0.88
札幌キング 297 42 29 10 2 3 236 1,810 14.3 2.5 0.9
ワンダフル 295 43 27 10 1 3 125 1,620 13.9 26 0.86
川岸宝玉 375 46 29 10 1 1 287 1,620 116 2.8 0.98
耐病空知 346 48 9.1 13 2 4 270 1,020 12.8 2.1 1.03

 その他の品種(47年)
品 種 名













a









47







(下)


















デーリー P 8.31 53 12 279 1,615 0.93 2.7 2.6 13.1 3 0 ○なし
シルク W 30 49 9 279 1,700 0.89 29 30 13.1 3 4 ○なし
ナポレオン G 9.4 48 11 312 1,210 1.05 3 2.3 9.6 5 5 ○なし
キング W 1 51 11 312 1,590 0.95 3.2 2.5 12.5 4 4  
ホープ W 5 56 11 225 1,600 1 10 2.5 15.6 3 4 ◎有
北海エース G 5 50 14 168 1,220 0.82 2.8 2.3 12.2 5 5 ○なし
フレッシュ P 2 50 10 300 1,600 0.97 2.9 2.8 12.2 3 3
オリンピアG G 9 67 11 100 1,840 0.91 3 3 14.8 3 4  
  〃  S W 827 65 11 240 1,480 0.89 2.6 2.9 13.7 4 4
札幌キングG G 9.1 64 9 144 1,150 0.89 3.1 2.8 13.7 5 3 ○〃
ほまれ G 10 51 14 132 1,550 5 5  
強力エース G 4 50 15 276 1,640 0.99 3.3 2.4 11.9 5 5 ○〃
スーパーキング P 827 48 9 330 1,890 0.83 2.2 3.2 11.6 5 4
キング三号 G 9.3 48 11 210 1,320 0.9 2.7 2.4 12.7 5 5  

・ 適用地帯並に栽培上の注意
 (1) 道内メロンの栽培地帯で栽培出来る、栽培は簡易ハウス及びマルチ、トンネル栽培とする。
 (2) 整技は2本仕立1株4果を限度とし、成らせ過ぎないように注意する。
 (3) 病害虫の防除は充分に行うこと、特にタンソ、ベト病には何れも強くない。
 (4) その他の栽培法は従来の北海道キング系に準ずるが低温伸長性がやや劣るようであるので注意する。
 (5) 貯蔵性は何れも劣る(ホープを除く)ので適期収穫を心がけること。