【普及奨励事項】
西瓜の急性萎凋症状対策に関する試験成績
(昭和45〜47年) 中央農試園芸部花きそ菜科 (山谷 吉蔵)

・ 目 的
 西瓜の急性萎凋症状(俗称バツタン病)については府県で昭和30年頃より、北海道では昭和40年頃より札幌市手稲で発生が認められ、昭和44年度は栽培面積200ha、発生面積144ha、被害面積51haである。対策として一応南瓜台木により被害が軽減されるが南瓜の品種、系統により差があり、栽培法についても不明の点が多いので検討を行う。

・ 試験方法
 1、現地試験(被害発生の札幌市手稲山口)
 2、試験の種類
  ①夕顔台木の接木方法と発病  ②南瓜台木と西瓜品種との組合せ  ③南瓜台木品種の比較  ④南瓜台木と施肥量(窒素)との関係  ⑤南瓜台木と灌水との関係
 (附)発生ほ場の地下水位測定

・ 試験成果の概要
 (1) 夕顔の接木方法と発病との関係は明らかでない。
 (2) 台木用南瓜と西瓜品種では親和性の劣るものがある(南瓜5品種、西瓜12品種との組合せ)
 (3) 台木用南瓜20品種について検討したが、収量、生育、品質(果型、果皮の厚さ、空洞筋、ブリックス)について調査の結果、鉄兜、キング土佐、同2号、備前ちりめんが適当
 (4) 南瓜台木使用の場合の窒素施肥量については窒素肥量の影響は少ない区分の着果が良いが収量、品質への差は台木の種類により異り判然としない。
 (5) 南瓜名木は旱魃に弱いので灌水が必要であり、灌水を行うことにより収量多く、果皮うすく、空洞が少なくなるが反面、ブリックスが稍々低下、着果も劣る。
 (6) 地下水位の急激な低下の時期とバツタンの発生時期が一致する。

・ 主要成果の具体的データー
 台木と西瓜品種との関係
台 木/
項 目
生     育 バツタン早害 収     量








ブル
ーハ
ツパ
ード







ブル
ーハ
ツパ
ード








ブル
ーハ
ツパ
ード
縞  王 × × 0      ×
初  日 × 0      × × ×
小  縞 0 0     
みかく × × ×     0
日  章        
縞王マックス ×     0  
パイオニア × ×     0  
神武2号 × ×        
縞王促成1号 ×       ×
 〃 2号 0   0
 〃 3号 × 0 0 0 0  
スーパー縞王 ×     0 ×
凡   例
×
     
バツ
タン
0
早害
     
極多


×

極少


 台木品種比較(西瓜、縞王)
台 木/項 目






















No
.
8































P
8
8
P
7
1
P
2
9
0
7
P
2
6
1
8
P
3
6
4
2
生 育 苗床
本圃
× ×
× × × × ×
着果節位 × × ×   ×
バツタン旱害                  × ×   × × ×  
空  洞 × ×   ×     ×                     × × ×
果実の型
            


           
 
 
果皮の厚さ × × ×           × ×   × × ×
ブリックス                     × × ×                
1果平均重             × × ×  
収  量 × 0 × 0 × 0 × × × 0 × ×   × × ×
判  定   0                             
 凡例 生育=◎○×良中劣、空洞=×あり   1果重=6kg以上、○5kg以上、×3kg以上
      果皮=○ ×厚   着果節位=◎○×低中高   ブリックス=×低
      バツタン=バツタン枯死   収量=○0×多中少

・ 普及指導上の注意事項
 (1) 西瓜急性萎凋症状の発生する地域では南瓜台木を使用すること、その他の地域では夕顔台の方が良品を生産出来る。
 (2) 台木用南瓜を使用する場合は西瓜品種との親和性に充分注意すること、特に新しい品種を使用する場合は親和性に注意する。
 (3) 台木用南瓜を使用する場合は灌水施設のある畑で灌水栽培を行うことにより果型、品質が良好となる。
 (4) 台木用南瓜を使用して接木を行う場合、夕顔に比較して接ぎにくいので接木前の台木灌水は出来るだけ行わないこと。