【指導参考事項】
③薬剤防除に関する試験 (昭和44〜46年) 道南農試 病中予察科 |
・ 目 的
いちごの育成不良株の発生原因を明らかにするとろもに防除対策を検討する。
・ 試験方法
○薬剤防除に関する試験
1、ダナーのウイルスフリー処理苗を供試し、定植前に土壌殺菌剤、DAPA剤と殺線虫剤D−D剤の単用および併用処理を木古内町現地土壌に行ないその後3年目まで生育、収量、線虫調査を継続した。
2、幸玉のウイルスフリー処理苗と木古内現地苗を供試し、5種の薬剤を処理し2年後までイチゴの生育、収量、線虫数の推移を見た。
3、ウイルスフリー処理苗と現地苗を供試し、アブラムシの防除区、無防除区を設置し、3年間アブラムシ、ハダニ類の推移、イチゴの生育、収量、ウイルス検定、線虫数の調査を実施した。
・ 試験結果の概要
○薬剤防除に関する試験
1、D−D剤、DAPA剤の処理により初年目の生育、収量は無処理区にまさったが、中でもD−D区の収量は無処理区の3割以上の増収となった。しかし2〜3年になると効果は低下した。キタネグサレセンチュウはD−D区で低密度であったが2〜3年と経過するにつれて回復し無処理区に近づいた。
2、ウイルスフリー処理苗の初年目の生育はクロールピクリン区、D−D区、ビオメート区で無処理に比して良好であった。2年目でもこれらの区の分けつ数、生草量、花房数などに差が認められたが、とくにクロールピクリン区の花房数は多く、収量は無処理区の4割程度の増収となった。キタネグサレセンチュウ数はD−D区、クロールピクリン区で低密度に経過した。現地苗では生育、収量に及ぼす処理効果は判然としなかった。
3、アブラムシの発生は、移植1〜2年目は少発生、3年目は前2年に比して多発であったが、殺虫剤処理により3年間ほぼ完全にアブラムシを防除できた。またハダニ類は殺虫剤処理により無処理区に比して少目に経過した。アブラムシ防除区(ウイルスフリー処理苗)の生育、収量は移植1〜2年目は無防除区と同等であったが、3年目には顕著な差が認められた。フリー処理苗の無防除区のウイルス感染株は移植2年目に出現したが防除区では見られなかった。ウイルス感染率はアブラムシの量と関係のあることが知られた。フリー処理苗と現地苗の生育、収量差は3年間を通じて大きかった。各区の根にはキタネグサレセンチュウが多数寄生していた。
・ 主要成果の具体的データー
○殺線虫剤、土壌殺菌剤の効果
項目/ 処理別 |
a当り施用量 | 収量(対無処理比) | 根部褐変程度 | 根内線虫数 | ||||
1年目 | 2年目 | 3年目 | 2年目 | 3年目 | 2年目 | 3年目 | ||
DAPA4%粉剤 | 500g | 109 | 98 | 98 | 2.7 | 3.7 | 550 | 433 |
D−D55%剤 | 3l | 133 | 101 | 106 | 0.7 | 2.7 | 137 | 287 |
DAPA+D・D | 500g+3l | 132 | 98 | 82 | 0.7 | 2.7 | 213 | 263 |
無 処 理 | − | 100 | 100 | 100 | 2.7 | 4.0 | 527 | 477 |
項 目/処理別 | ㎡当り施用量 | 収量(無処理区) | 根内線虫数 | 根・褐変程度 | |
2年目 | 1年目 | 2年目 | 2年目 | ||
クロールピクリン80%剤 | 27ml | 141 | 0 | 10 | 2.0 |
D−D55%剤 | 30ml | 104 | 5 | 5 | 2.0 |
カーバム剤(ビオメート20%)20g | 90 | 39 | 65 | 2.5 | |
PCNB20%粉剤 | 10g | 103 | 208 | 185 | 4.0 |
DAPA4%+PCNB20% | 5+10g | 113 | 285 | 45 | 4.0 |
無 処 理 | − | 100 | 178 | 200 | 3.5 |
項 目/ 処理別 |
殺 虫 剤 | 収量(10a当りkg)1年目 | 2年目 | 3年目 | ウイルス検定(感染割合)※ | |
U.C−1 | E.M.C | |||||
防除区 無防除区 |
エチルチオメトン粒 チオメトン乳 ESP乳 |
877.0 | 1519.5 | 1166.7 | 0/4 | 0/6 |
842.0 | 1632.1 | 917.3 | 2/6 | 2/5 |