【指導参考事項】
冬期緑葉野菜栽培に関する試験
たまねぎ萌芽葉の利用試験
(昭和45年度) 土肥 紘(道立中央農試園芸部花きぞ菜科)

・ 目 的
 冬期間の緑葉野菜として、たまねぎ規格外屑玉の萌芽葉の利用を考え、その生産性の検討を行なう。 

・ 試験方法
 供   試: たまねぎ規格外屑玉(大球:平均量45g、小球30g)
 供試培地: ①無培地 ②もみがら ③みづごけ ④ピートモス2/3+燻炭1/3
 管理法  : 11月20日に各培地毎に箱種し ①屋外 ②無加温室内に放置した。
         1月10日に保温を開始した。最低温度5℃

・ 試験成果の概要
 ① 培地の種類:萌芽およびその生長には、まず発根し、吸水することが必要である。保温開始時にすでに発根をし、水管理が易しくその後の根の伸長が極めて良好であった「ピートモス+燻炭」培地の初期および全期収量が高かった。「もみがら」および「みづごけ」
培地は水管理が難しい。この試験の場合前者は、保温開始時に乾燥傾向となり根の伸長が劣り、後者は、過湿に過ぎて生育が劣った。初期の病害発生おそれもある。無培地が不良であった。
 ② 保湿までの取扱い:特に低温処理の必要はなく無加湿屋内に放置してよい。屋外等に置くことは好ましくなく保温後の生育が劣った。
 ③ 培地施肥の有無:施肥により球の疲労程度をやや減ずる傾向を認めたが収量に大きな影響はない。
 ④ 使用する球の大きさ:一球当の収量は大球程多いが、面積当りの収量は同程度である。

・ 主要成果の具体的データ
 ① 大球 (800c㎡)
培地別 25日後  調 腐敗球% 40球当収量g 1区当収量g
葉長 葉数 根重 1球当葉重 未筋葉球% 25日後 25,45,65日3回計 3回計
13.0cm 8.5 2.9 4.7g 55 12 79 161 161
もみがら 17.8 7 2.6 4 40 2 96 789 789
みづごけ 18.4 6.7 3.8 4.6 45 10 106 610 610
ピートモス<L炭 22.5 9 5 8.1 17 7 273 791 791

 ② 小球
14.6 6.5 1.2 2 45 15 51 111 153
もみがら 14.2 5.5 1.9 3.4 65 20 40 474 695
みづごけ 16 6.7 2.1 4 40 5 98 517 758
ピートモス<L炭 17.6 7.5 3.6 6.2 15 10 203 569 835

・ 普及指導上の注意事項
 ①水管理に注意し、過湿、過乾にならないような培地を用いる。
 ②培地施肥の効果は高くない。
 ③保温までの取扱いは、特に低温処理等の管理は必要がないが、凍害を受けないよう貯蔵する。