【指導参考事項】
重粘畑土壌における排水法の改善に関する試験 A 各種排水工法の総合組立に関する試験 (昭和45〜47年) 道立中央農試土壌改良科 道立滝川畜試草地飼料作物科 |
・ 目 的
暗渠に心土破粋を併用したときの排水効果を検討する。
・ 試験方法
1、処理暗渠の渠を8、12、20m、渠深を0.6、1.0mとし、心土破粋の巾深を0.75m×0.45mとし、暗渠に直角に一方向、および暗渠に直角と平行の十字方向の処理を行った。
2、調査項目
ア、着色剤による亀裂の状態および水の侵入状況の観察
イ、浸透能調査
ウ、融雪時ならびに降水時の暗渠排出速度の経時的調査
エ、テンシオメ−タ−による土壌水張力の変動調査
オ、心土破粋処理後の硬度分布調査
カ、イタリアンライグラスの湿害限界水位の調査
・ 試験成果の概要
1、基幹明渠の整備、暗渠の施行だけでも排水は効果的であった。各排水処理区とも相当量の降雨に対して、3日以内に水位が25〜30cmに低下した。
2、暗渠排出速度では心破一方向併用、渠深0.6mが特に大きい。この事は心破による暗渠までの亀裂の連続がもっともよい事を示す。
3、降雨後一週間内外の張力からの水位は心破処理により、水が保留される傾向にある。しかし、高張力段階までの保水効果は判然としない。
4、心破処理の渠間12mと20mではその差が見られない。
5、心破処理2年経過後の硬度分布は十字方向区は無施行に比較して硬度分布が不規則であり、かつ、心土が膨軟である。一方向区はその中間である。
6、イタリアンライグラスの初期成育の湿害の限界は水位20cm、期間3日であった。
7、牧草及び一般作物の生産性に与える効果は46、47年の気象が乾燥気味に経過したため、湿害よりも、むしろ早害をうける傾向にあった。
8、総括として、滝川重粘地における心土破粋は二年経過後、チゼル跡が連続的に認められるものと粘土で重鎮され、判別したいものが観察されたが、心土破粋併用処理は心破一方向、渠深0.6mにおいて余剰水の排除に効果的であった。暗渠の渠間については12mと20mの差が見られないので、渠深を0.6mとし、心土破粋を一方向に掛ければ、渠間20mとしてもさしつかえない。
・ 主要成果の具体的データ
図1 暗渠施行による水位の低下(45年)
図2 融雪時の処理別暗渠排出速度
図3 降水時の処理別暗渠排出速度(渠間12m)
図4 降水7日後の処理別の水位
表1 浸透能定数 (I=CnTn-1のn値)
処理/ 打込み深(cm) /処理 |
8×1.0 | 12×0.6 | 12.×10 | 20×0.6 | ||
無 処 理 |
15 | 0.60 | ||||
25 | 0.27 | |||||
50 | 0.15 | |||||
暗 渠 |
15 | 0.78 | 0.61 | 0.82 | ||
25 | 0.44 | 0.24 | 0.58 | |||
50 | 0.15 | 0.00 | 0.21 | |||
心破 一方 向併 用 |
15 | 0.72 | 0.62 | 0.75 | ||
25 | 0.51 | 0.46 | 0.74 | |||
50 | 0.11 | 0.15 | 0.31 | |||
心破 十字 方向 併用 |
15 | 0.64 | 0.69 | 0.72 | ||
25 | 0.51 | 0.39 | 0.32 | |||
50 | 0.20 | 0.27 | 0.15 |
心破無施用 | 心破一方向併用 | 心破十字方向併用 |
・ 普及指導上の注意事項
心土破粋は暗渠施行後に実施する。