【指導参考事項】
2、ジャガイモシストセンチュウの発生について
(昭和47年度)  道立中央農試 病虫部、稲作部、専技室
           道立道南農試 病虫予察科
           北海道農試 病昆部

・ 目 的
 本郷未記録のジャガイモシストセンチュウが、道内に生息することを確認し、諸種の分布調査が行われた。

・ 方 法
 初動分布調査        中央農試 病虫部、稲作部
 固定調査           道南農試
 植物検診  1) 初発見2村 (馬鈴薯畑)
                 農林当・北海道
         2) 道内全域 (馬鈴薯畑)
                 北海道
 土壌検診     初発見2村 (全耕地)
                 北海道


・成果の概要
 1、ジャガイモシストセンチュウ確認(47.7.24)
 2、初動調査で、分布は2村に亘り、かなり広いことが判明した。(47.7.21)
 3、植物検診 
  1) 2村の馬鈴薯畑での発見筆率10.9%
  2) 全道調査でニセコ、蘭越町で各1筆を発見した。
 4、土壌検診 2村の全耕地対象で発見筆率9.8%
 5、防除 多湿度ほ場32haに対し、D-D30l/10aで秋季防除を実施した。

・ 主要成果の具体的データ
 初動分布調査
場  所 初発見団地 真狩村  種子圃 留寿都村種子
作  物










土場
いも








観察シスト量 (−) (−) (−)
乾土シスト数 Full 294 670 14 12 22 2 246 0 8 8 2 0 0 0 0 254 4 0
Empty 144 272 14 150 154 24 44 0 4 18 4 10 0 22 0 22 10 0
 固定結果
  関係官公署に報告のほか、学術認「線虫研究会認2号」

 検診結果
  検診法 面積ha(発見)率% 戸数(発見)率% 筆数(発見)率%
真 狩 植物 446 108 23.3 217 37 17.1 338 47 13.9
土壌 2242 314 13.9 279 116 41.2 2639 355 13.4
留寿都 植物 349 48 13.8 153 20 13.1 324 25 7.7
土壌 1364 61 4.4 228 42 18.4 1697 73 4.2
植物 814 156 19.2 370 57 15.4 662 72 10.9
土壌 3606 375 10.3 507 158 31.1 4336 428 9.8
  防除 DD30l秋季処理結果は、48年春に調査の予定

・ 技術上取るべき手段(普及指導上の注意事項改訂)
 1、本線虫の侵入防止に対しては、植物防疾法により発生圃からのナス科およびアカザ属植物の生塊茎輪入が禁止されている。
 2、本年の調査により、真狩村、留寿都村での発生が確認された。特に一部では顕著な被害が出ているので、その伝播径路は未だ不明であるが、少なくとも数年以前から土着していたもようである。
 3、本線虫に対する確実な防除技術は確立されていないが、欧米諸国の例からみても次の事項は守るべきである。
  1) 種苗用の全てのジャガイモ、トマト、ユリ等は発生地域からの移動禁止。
  2) 発生地域からの土壌の移動禁止。
  3) 発生圃場ではジャガイモ、トマトの作付禁止。