【普及奨励事項】
昭和47年度農業試験会議資料
4、ダイズ矮化病防除試験
(昭和45〜47年) 北海道立中央農試病中部
〃   畑作部

・ 目 的
 本病の発生分布と被害の実態を明らかにし、病原ウイルスの性質とアブラムシによる伝播の機作を解明する。さらに抵抗性品種を探索し、防除法を確立する。

・ 試験方法および試験結果の概要
 (1) 発生分布調査
  ①45〜47年、道内各地の発生状況を調査した結果、本病は全道各地に分布し、発生率は年々増加の傾向にあり、46年には青森県での発生が確認された。
  ②本病には2つの系統があり、シロクローバーを寄主とする黄化系統ウイルスが増加傾向にある。
  ③発生分布とクローバーの保毒状況はよく一致した。
 (2) 病原ウイルスとアブラムシ伝染に関する試験
  ①病原ウイルスは汁液伝染し種子伝染せず、ジャガイモヒゲナガアブラムシで伝染される。
  ②病原の縞性質が明らかとなった。
 (3) 抵抗性品種検定試験
  ①3ヶ年にわたり1102品種について発病率を調査した結果、毎年発病の低率なものが43あり、育種材料として有望であった。
  ②人為接種によっても品種間差を明らかに出来た。
 (4)防除に関する試験
  ①ジャガイモヒゲナガアブラムシの初発はダイズの発芽期と一致し、浸透性殺虫剤の土壌施用によってアブラムシの密度を低下せしめ、防除効果を認めたが保毒虫の飛来による第一次感染は防止こえなかった茎葉散布の効用効果も認められなかった。
  ②感染時期、種間差、殺虫効果についても明らかとなった。

・ 主要成果の具体的データ
 管内における発生の推移


 ジャガイモヒゲナガアブラムシの伝染所要時間
ウイルス獲得吸汁時間 最短30分−1時間
ウイルス接種吸汁時間 〃 10分−30分
虫体内潜状期間    〃 15 −27時間
虫体内保有期間    最長40日間

 抵抗性品種探索試験
  45年 46年 47年 備  考
供試品種数 104 223 728 3ヶ年間発病率の低かった品種43
発病率10%未満品種数 73 88 231

 防除試験(発病率)
  品種 無防除 防除 茎葉散布併用 備  考
45年 4 41.0 17.7 18.8 IPSP2049kg/10a マリックス乳前
46年 10 77.1 43.0   ダイシストン粒剤8kg/10a
47年 10 36.4 9.0   ダイシストン粒剤8kg/10a


 アブラムシの発生消長


 各品種の発病程度と収量

              発病程度

・  普及指導上の注意事項
 農薬入肥料による防除効果の項は試験が不充分であるので指導事項からは削除する。