【指導参考事項】
廃液添加澱粉かすの肉豚に対する利用性に関する試験 (昭和44〜46年) 滝川畜産試験場 飼養科 |
・ 目 的
澱粉工場の廃液を濃縮し、添加乾燥した澱粉かす(ポテトミール)は、これまでの生澱粉かす、乾燥澱粉かす(ポテトパルプ)に比べ高蛋白質化していることから養豚飼料としてのし好性、肥育効果、および安全性などについて検討した。
・ 試験方法
1、ポテトミールの化学組成と栄養価値の検討(消化試験)
2、ポテトパルプとのし好性比較、および飼料用香料によるし好性改善効果の検討
3、配合飼料の20%、30%代替給与による肥育効果の検討
4、油脂添加による栄養補正効果の検討
・ 試験成果の概要
1、飼料としての安全性を予備的に調査した結果、し好性がやや悪いこと、個体により軟便傾向が判明した。
2、消化試験の結果は、粗蛋白質の消化率が低いほかは、良好で粗蛋白質18%の製品のDCPは8.8、TDN59.0であった。
3、ポテトパルプとにし好性比較では、ポテトミールが良好で、廃液添加がし好性をおとす原因とは考えられなかった。またフレバーによるし好性改善効果は低く実用的でなかった。
4、配合飼料の30%および20%をポテトミールで代替給与した結果、30%で発育が遅延し、残食があったが、20%では発育もあまり遅れることもなく、残食もなかった。
5、ポテトミールを30%混合給与した場合に、油脂添加により熱量補正をしたが効果は認められなかった。
6、以上の結果から、農家階段で配合飼料に単に混合給与する場合の混合率は15〜20%が適当であった。
・ 主要成果の概要
表1 ポテトミールの栄養価値 (%)
組 成 | 消化率 | 栄養価 | ||||||||||
水分 | 粗蛋白質 | 粗脂肪 | NFE | 粗センイ | 粗灰分 | 全有機物 | 粗蛋白質 | 粗脂肪 | NFE | 粗センイ | DCP | TDN |
16.2 | 9.6※ | 0.1 | 53.0 | 8.0 | 13.0 | 82 | 49 | 0 | 88 | 85 | 4.8 | 58.2 |
12.2 | 18.0※※ | 0.2 | 49.9 | 7.5 | 12.2 | − | − | − | − | − | 8.8 | 59 |
1日平均増体量 (g) |
飼料要求率 | 枝肉歩留 (%) |
背腰長Ⅱ (cm) |
コース断面積 (cm2) |
背脂肪平均 (cm) |
ハムの割合 (%) |
|
対照区 | 712 | 3.23 | 73.9 | 67.1 | 14.2 | 3.55 | 30.5 |
30%混合 | 514 | 3.90 | 71.7 | 70.7 | 13.2 | 2.73 | 31.1 |
30%蛋白補 | 517 | 3.93 | 72.8 | 67.8 | 13.2 | 3.08 | 30.9 |
1日平均増体量 (g) |
飼料要求率 | 枝肉歩留 (%) |
背腰長Ⅱ (cm) |
背脂肪平均 (cm) |
ハムの割合 (%) |
|
対照区 | 638 | 3.80 | 72.9 | 70.2 | 2.6 | 32.7 |
30%補正 | 568 | 4.19 | 71.1 | 70.2 | 2.6 | 32.6 |
20%補正 | 603 | 3.91 | 72.6 | 71.2 | 2.6 | 32.1 |
20混合 | 591 | 3.96 | 72.2 | 70.5 | 2.3 | 32.9 |
・ 指導参考上の注意
1、ポテトミールを大量に利用する場合は、蛋白質、熱量の両面で検討された専用の組合せ飼料を給与すべきである。
2、子豚のし好性が劣ること、消化機能が低下している場合などには軟便になりやすいことなどから、子豚での給与量は適宣加減する必要がある。