【指導参考事項】
北海道における市場出陣和牛子牛の発育ならびに取引価格の実態に関する調査
(昭和46−47年) 新得畜試 経営科 肉牛科 滝川畜試 経営科

・ 目 的
 道内地域家畜市場出場の和牛子牛の発育性と価格の実態分析から今後の肉牛生産経営上の改善点を明らかにする。

・ 試験方法
 1、調査対象市場 白老・平取・道中央(旭川)・道南中央(大野)
 2、調査頭数 黒毛和種 46年 725頭 47年 772頭
          褐毛和種      150       195
          日本短角種    294       256
 3、調査方法 市場に立会し、実測と聴取調査
 4、調査項目 技術調査:性、日令、血統登録、体重、体高
          経済調査:取引価格、購買者

・試験成果の概要
 1、子牛流通の概要
 ① 道内の和牛子牛牛生産頭数は約7,000頭で流通頭数5,000頭、市場利用率は60%と推定される。
 ② 調査市場の買参人は地元家畜商が大半を占めるが、購買頭数は道外家畜商と道内大手家畜商が圧倒的である。一方、農協系統の購買(道内・外)が目立ってきている。
 2、出場子牛の発育性
 ① 黒毛和種では、46年は平均200日令で体重は171kg、47年は190日・168kgであった。
 ② 褐毛和種では、46年・196日・180kg、47年・206日・190kgであった。
 ③ 日本短角種では、46年・193日・186kg、47年・196日・193kgであった。
 ④ 3品種共標準発育値に比し、体重はかなり低位であり、体高では標準に近かった。
 3、出場子牛の価格条件
 ① 黒毛和種では47年♀113千円・♂105千円・♂114千円で、46年に比し約40%高であった。
 ② 褐毛和種では47年♀96千円・♂106千円であり、46年の20%高であった。
 ③ 日本短角種では47年♂84千円・♂101千円で46年に比し♂で30%高であり、♀は10%高にとどまった。

・ 主要成果の具体的データ
 ① 47年市場成績概要
   日 令 体 重 価 格
(千円)
生体・kg
(円)
本州価格比(生体)
(%)



198.4±33.1 162.3±26.6 112.5±21.2 696 68.40
184.2±32.2 161.9±31.2 104.7±15.5 655 61.9
184.2±34.1 177.1±33.9 113.8±17.4 651 73.7

212.3±28.2 184.4±32.8 96.4±17.0 526±44.3 69.3
198.4±32.3 196.4±38.2 106.4±16.8 546±48.7 64.8

197.3±22.7 183.6±25.4 84.0±15.9 456±41.2 92.5
195.3±20.0 203.5±31.4 101.3±20.3 497±49.9 95.4
  注)対本州価格比(生体kg当り)は標準的規格子牛のもので、黒毛、褐毛は46年実績、短角は47年実績である。

 ② 47年体重(X)と価格(Y)の関係
  黒毛和種 褐毛和種 日本短角種
Y=0.62X+12.08(r=0.778) Y=0.39X+29.62(r=0.887)Y=0.55X−17.78 (r=0.888)
Y=0.41X+38.73(r=0.817) Y=0.46X+11.55(r=0879)Y=0.56X−12.21 (r=0.862)
Y=0.38X+45.61(r=0.751)  

・ 指導普及上の参考事項
 ① 子牛の出荷時体重を高めるための技術対策を講ずる必要がある。
 ② 去勢牛は有利な価格条件で取引されているので、適切な時期の去勢が望ましい。
 ③ 登録は繁殖・肥育素牛共に実施が望ましい。
 ④ 広域市場の活用による適正価格取引を促進する必要がある。