【指導参考事項】
・ 課題名  水稲育苗施設に関する試験
     1 −土詰播種橙に関連する調査−

・ 試験目的
 水稲の機械移植に関連した育苗施設の管理方式を確立するため、導入機械器具類の性能を明らかにし、利用上の問題点を摘出して、合理的な運用法について検討を加える。

・ 試験方法
1. 試験期日  昭和47年3月〜5月
2. 試験場所  上川郡東神楽町、空知郡栗沢町、中央農試内
3. 供試機及び調査項目
           ヰセキⅠ型全自動式、クボタSR500A、サークルSCP1-2
           床上容量と排出量、播種量と密度、作業工程と能率
  
   供試機の概略
    ヰセキⅠ型
   クボタSR500A
   サ−クルSCP1-2
      


・ 試験結果
 (1) ヰセキⅠ型、全自動方式を採用、自動箱送り装置、後部灌水方式である。床土排出量は、ホッパーゲートのたかさにより、箱移動速度は10.65cm/s、箱当り床土量は3.23kg、10a当り64.6kgであった。
 播種量は、ロールとプラン間隙により箱移動速度の1.32倍である。播種量は350ccで10c㎡当り392±27粒であった。
 覆土量は、砕土、選別程により異り、箱当り562g(5ミリフルイ)であった。仕上がり箱重量は、箱当り4.08kgである。能率は、灌水終了まで560箱/h作業人員5人である。
 (2) クボタSR500A
 床土量は適正水分(24%)で箱当り2.75kg、10a当り55kgであった。播種量は320ccで10c㎡当り348粒であった。灌水は中間水方式で、播種前に行なわれ低圧散水(0.3kg/c㎡)で箱当り1.0kgと若干多い。覆土量は、1.3kg/箱で、仕上がり箱重量は、5.3kgであった。
 能率は、プラント454〜422箱/h、箱の移動122箱/時人、出芽器セット106箱/時人である。
 (3) サークルSCP1-2
 紙筒苗用、鎮圧反転方式で、出芽行程がないため連続運転が可能である。したがって床土の処理も平行して行なう必要があり、床土運搬、乾燥、砕土選別の同時作業が必要である。第1行程の覆土量は10ミリ厚さで、毎分6.3kgの排出量、第2行程播種量は、紙筒1個当り3〜4粒に調節したが、籾表面水の多少が大きく影きょうし、やや乾きぎみで平均4粒、0〜1粒2.5%であった。
 能率は、紙筒展開、下紙敷きの作業を含む。343冊/hで、運搬は同時作業で364冊/時人ハウスセット135冊/時人であった。

・ 主要成果の具体的データ
  ヰセキⅠ型 クボタSR サークルSCP
床土量(正味kg) 64.6(22.4%) 55.0(23.7%) 91.0(24.4%)
播種量(箱当り) 350cc 320cc 3184粒
〃(単位当り) 392粒±27/10c㎡ 348粒±21/10c㎡ 4.2粒/ポット
灌水量(l/箱) 0.53 1.25
覆土量(kg/10a) 11.24 26.2 33
プラント送り速度 6.4m/min 4.93m/min 3.54m/min
能率(h) 560箱 454箱 343箱
作業人員(人) 5 7 12
紙筒の播種精度
粒数:(1)5184粒/冊
    (2)3498 〃
    (3)2452 〃
    (4)2499 〃

・ 普及上の問題点
 床上の乾燥と砕土選別は、能力に大きく影きょうするので調製は充分行なう。籾水分(表面水)は暦種精皮に関係するので、脱水機で均一に水切りをする。1日の作業量は、出芽器容量と育苗回数によって決定する。