【指導参考事項】
紙筒苗ばら播移植機に関する試験
(その1)大型トラクタ用ばら播機
(昭和47〜48年) 中央農試農業機械部

・ 目 的
 紙筒苗を対象とした大型ばら播移植機の性能を明らかにし、その利用技術を確立する。

・ 試験方法
 1、供試機
 2、供試苗   草丈 16〜19cm、1本当重さ8g
 3、実施方法
  1)要因  作業速度、苗導管、作業繰返、経験度
  2)調査項目  苗本数(3条に8m間)、苗間隔(1条のみ)、作業速度、すべり率


試験結果の概要
1、苗の落下量の変動
 1)作業速度が変化すると、両機共落下量がむらになる。
 2)導管を経て落下した苗は各条間でほぼ均一である。
 3)作業の繰返によって落下量に変動はみられないが、速度と交互作用があるので、作業速度を一定にする方が好ましい。
 4)落下量は経験度によって変わらない。
 5)裁植密度 ロール揺動式で19〜20本/㎡である。
2、苗間隔の変動
 1)速度が0.5m/s以下では苗間隔のバラッキは一様といえるが、0.8m/sでは両機共差がみられ、速度を高めることは好ましくない。
3、作業能率
 作業速度0.6m/s、作業効率50〜60%として試算すると、ロール揺動式で0.15〜0.2ha/hr、ベルト式で0.4〜0.5ha/hrとなる。

・ 主要成果の具体的データ
 表1 要因の分散分析
機 種 要 因 偏差平方和 自由度 平均平方 分散比





作業速度間 A 950 2 475.00 5.18*
苗導管間  B 94.89 2 47.45  
繰返作業間 C 208.25 2 104.13 1.13
交互作用A×C 2099.09 4 524.77 5.72**
残差(プ−ルした) 1468.44 16 91.78  



A 1659.56 2 829.78 8.79**
B 216.00 2 108.00 1.14
C 1094.22 2 547.11 5.79*
A×C 3763.55 4 940.89 9.96**
残差(プ−ルした) 1510.67 16 94.42  
ロ−ル揺動式 経験度間 8362.67 1 8362.67 3.81
残  差 8795.33 4 2196.33  
ベルト式 経験度間 3952.66 1 3952.66 2.25
残  差 7016.67 4 1754.17  

 表2 経験度、作業速度の分散の検定
機 種 要 因 作業速度(m/s) 不偏分散 自由度 x2





経験者 0.3 130.65 2 4.08
0.5 272.64 2 0.29
0.8 276.9 2 31.56**
未経験者 0.5 183 2 64.75**



経験者 0.3 242.21 2 11.28**
0,5 452.68 2 4.21
0.8 349.06 2 31.39**
未経験者 0.5 374.56 2 62.09

・ 普及上の注意事項
 1. 苗供給を円滑にするためにばら播用の紙筒を使用すること。
 2. ばら播作業は、苗の安全上から代掻作業直後が良い。
 3. 裁植密度を一様にするために、最適作業速度を決定し、この速度を固守すること。