【指導参考事項】
・ 場所名  北海道農業試験場農業物理部機械化第2研究室
・ 課題名  生籾の乾燥法と品質食味について(その1)
・ 試験 年次  開始44〜46年

・ 目 的
 籾の乾燥能率は主として送風温度で左右され、送風温度を上げると乾燥能率は向上するが品質食味の劣化が大きくなると予想される。その限界を知ろうとする。
環境式乾燥機の操作法(連続乾燥と間断乾燥)による差異について検討する。

・試験方法
 1、供試籾、泥炭地研究室ほ場(高位泥炭地)品種「ユーカラ」
   収穫時期、44年10月9〜17日自然乾燥区以外は収穫後に自動脱穀にて脱穀し乾燥処理を行なった。
試験番号 乾燥法 送風温度
No.1 自然乾燥
No.2 循環連続乾燥 30℃
No.3 40℃
No.4 60℃
No.5 循環間断乾燥 40℃−40℃−40℃(送風時間0.7−1.0−2.7時間)
No.6 60℃−40℃(送風時間0.7−2.0時間)
No.7 自然乾燥(基準米)  
 (3)  籾摺、搗精、炊飯方法:籾摺はロール型を使用、搗精はワンパスを使用した。洗米は資料1kgを自動洗米機(イツシンS−1)にて4分間実施、電気釜(RC−1CM)を使用。
 (4) 食味官能試験法:性別、年令別24名構成による食糧研究所法を用いた。

・ 試験結果
 1、送風温度40℃以上では胴割れの発生が多く従って搗精時の砕米率が高く品質の劣化が大きい。
 2、自然乾燥は悪天候下での長期間架干しでは、変質が大きく食味評価に悪い結果をもたらした。
 3、乾燥処理区間の食味評価では低温乾燥(30c)がやや優り、高温乾燥がやや劣る傾向がうかがわれた。
 4、基準米(北陸産「トドロキワセ」)は乾燥処理区間のいずれのものより食味評価では有意差があり、明らかに優っていた。

 1表 乾燥経過と胴割率
試験番号 乾燥処理法 乾燥前籾水分
(%)
乾燥後籾水分
(%)
乾燥時間 乾減率
(%/hr)
胴割率
(%)
No.1 自然乾燥 24.6 15.5 21日間 11.4
No.2 30℃連続乾燥 22.7 15.2 7時48分 0.97 17.2
No.3 40℃連続乾燥 26.8 15.3 5時27分 2.12 74.4
No.4 60℃連続乾燥 26.1 15.2 2時40分 4.01 96.8
No.5 40℃間断乾燥 24.3 15.5 9時52分 0.89 48.0
No.6 60℃間断乾燥 24.9 15.3 5時40分 1.69 76.0
No.8 自然乾燥(基準米) 2.0
  注) 間断乾燥の乾燥時間と乾減率はテンパリング時間を含む。

 2表 玄米および精米内容
試験番号 玄米内容 籾摺歩合
(%)
屑米混入率
(%)
砕米混入率
(%)
挫折硬度
(kg)
圧砕硬度
(kg)
搗精歩合
(%)
No.1 83.5 4.8 2.4 4.1 5.5 86.4 20.0
No.2 83.9 3.0 2.1 4.7 6.1 89.5 14.6
No.3 84.6 4.5 4.5 5.1 7.2 90.6 47.2
No.4 80.1 4.6 27.3 5.7 7.3 88.6 94.4
No.5 82.7 3.2 2.5 5.2 6.9 86.8 27.2
No.6 83.9 3.5 6.9 5.5 7.1 88.9 53.3
No.7 83.5 4.0 5.9 7.7 90.9 2.6

 3表 食味評価平均値の順位
期日/
順位/
項目
1日目 2日目 3日目
1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4
外観 No.2* No.4 No.5 No.1 No.5*
No.6*
   No.1 No.3 No.7* No.6 No.4 No.1
香り No.2 No.1 No.4 No.5 No.5* No.3 No.6 No.1 No.7* No.4 No.6 No.1
No.4 No.5 No.2 No.1 No.6* No.5* No.3 No.1 No.7* No.6 No.4 No.1
粘り No.4 No.2 No.5 No.1 No.5 No.6 No.1 No.3 No.7* No.6 No.1 No.4
硬さ No.5 No.4
No.1
  No.2 No.5 No.6 No.1
No.3
  No.7* No.4 No.6 No.1
綜合 No.2 No.4 No.5 No.1 No.5* No.6 No.3 No.1 No.7* No.6 No.4 No.1
  注) *印は有意差あり。