【普及奨励事項】
・ 分類番号  畑作-a 整理番号 16-1-5
・ 研究課題名  小麦品種改良に関する試験
・ 期 間  昭和2年〜継続
・ 担 当  道立北見農試 小麦科
・ 予算区分  指定試験
・ 協力分担  中央農試畑作部 同原々種農場

・ 新品種候補系統名  秋播小麦「北見30号」
・ 成績の概要
 1. 来 歴    昭和40年6月
   昭和44年度(F5)
   昭和45年度(F6)
   昭和47年度
  交配(東北118×北系221)北見農試
  生産力検定予備試験
  生産力検定試験
  F8
 2. 特 性 (1) 幼苗期の叢性は中間型で葉色は濃緑色
(2) 稈長は「ムカコムギ」より10cm短く、「改良伊達早生」より5cm程度長い。
(3) 穂長は「ムカコムギ」より短く一穂粒重も軽い。穂型、錐状、褐 、無芒。
(4) 出穂期は「ムカコムギ」より7日、成熟期は7〜10日ともに早い。「改良伊達早生」より1〜2日遅い。
(5) 稈の強さは「ムカコムギ」なみであるが短稈のため耐倒状性は強い。
(6) 道南では「ムカコムギ」なみの収量であるが、十勝・網走地方の収量は高くない。
(7) 品質、立重は「ムカコムギ」より重く、蛋白含量も多い。外見品質は良好製粉性は「ムカコムギ」よりやや劣るが「改良伊達早生」よりまさる。アミログラムの最高粘度(MV)は高い。

・ 主要成果の具体的数字
 標準栽培の成績
   試験年次 45〜47年度平均 但し散播は46.47年の平均
場所 品種及
系統名
出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
稈長
(cm)
穂長
(cm)
穂数
(/m2)
子実重
(kg/a)
収量
割合
(%)
立重
(g)
千粒重
(g)
外見
品質
育成場 北見30号 6.8 7.18 89 7.5 513 44.9 99 792 38.8 上〜上下
ムカコムギ 6.14 7.29 104 8.9 508 45.5 100 754 37.7 上下〜中上
伊達市 北見30号 5.30 7.19 90 8.7 678 34.2 116 中上
改良伊達早生 5.29 7.18 84 8.4 601 29.6 100 中上

   試験年次 育成場は45〜47年平均 伊達市は46年のみ
場所 品種及
系統名
原粒(%) 製粉
歩留
ミリング
スコア−
60%粉 ファリノ
VV.
アミロ
MV.
灰分 蛋白 灰分(%) 蛋白(%) 湿麩(%) 沈降価(cc) カラ−
バリュ−
育成場 北見30号 1.65 12.3 68.3 74.8 0.52 11.2 36.6 41.8 2.95 56 793
ムカコムギ 1.48 11.5 69.8 80.5 0.47 10.1 27.8 56.7 3.28 50 375
伊達市 北見30号 1.62 12.6 62.0 75.5 0.42 11.6 38.5 43.0 3.75 51 715
改良伊達早生 1.46 13.0 66.7 70.7 0.62 11.4 39.3 36.0 4.99 41 295

・ 栽培上の注意事項
 1. 一穂粒重が軽いので穂数確保につとめること
 2. 十勝、網走地方では密播、多肥にすることにより「ムカコムギ」の標準栽培なみの収量を期待できる
 3. 主要麦作地帯では、収穫機械および乾燥施設に見合った熟期別配合品種とし、品質改善につとめる

・ 適応地帯および普及見込面積
 「改良伊達早生」と全面おきかえすると共に、主要麦作地帯の早生品種として20%の導入をはかる。2800ha

・ 配付し得る種子量
 49年8月に収穫予定の数量
  播種面積  21a  採取予定量  440kg