【指導参考事項】
麦類雪腐病(紅色雪腐病)に関するチオファネ−トメチル剤の散布時期に関する試験
  道立十勝農試作物科

・ 目 的
 麦類雪腐病(紅色雪腐病、大粒菌核病)に対し、チオファネ−トメチル剤が卓効があり、持続効果が長いことから、その散布時期は11月中旬となっている。しかし年により根雪が早く、11月中旬に根雪となることも稀にあり、このため薬剤の散布時期を失したり、また、水和剤の場合寒さのため散布機具が凍結するなど防除作業に困難を感ずる場合もなしとしない。このようなことから散布時期を早めることができれば防除を一尼容易に行い得ると考えその可能性を検討した。

・ 試験方法
昭和46年度 (播種)
 供試品種 「ムカコムギ」「イ−ビス」 1区15m2乱塊法3反復
 耕種梗概 畦巾30cm( 往復播)播種期9月17日 播種量16kg/10a
施肥量 硫安30 過石58.5 硫加20 硫安追肥12.9kg/10a
              (9-12-5-5)
処理区別     
 散布濃度 1500 2000 2500倍 粉剤2%
 散布時期 11月5日 11月25日
 散布量 水和剤10a当100l 粉剤3kg
 散布方法 水和剤小型加圧式噴霧機 粉剤小型ダスタ−
昭和47年度
 供試品種 「イ−ビス」試験区設計は昭和46年度に同じ
 耕種梗概 播種期9月13日 施肥量麦4号150kg/10a
             (9-15-75-45)
その他46年度に同じ 
 処理区別
 散布濃度 時期1500倍(×/25×1/15)  2000倍(×/25×1/5×1/25)
   2500倍(×1/5) 2%粉剤(×/25×1/5×1/15)
その他46年度に同じ       


・ 成果の概要
 昭和46・47年(播種)の試験の結果の結果雪腐病(紅色雪腐病・大粒菌核病)に対するチオファネ−トメチル剤の散布時期は、水和剤粉剤ともに11月上旬の散布でも11月中下旬の散布と効果に変わりがなかった。従って従来の散布時期11月中下旬を早めて11月上旬とすることが適当と考えられる。

・ 主要成果の具体的デ−タ−



散布濃度 散布時期

菌別
発生
株率
(%)
健全
株率(%)
子実
収量(kg/a)


(%)
×/25 ×1/5 ×1/25 S Tis F


46


(発

調

5

4

8
日)




無散布 63.4 13.2 0 86.8 0 20.9 100
チオファネ−トメチル(水)×1500      1.7 4.5 0.4 0.9 94.2 27.4 131
  〃             〃   0 0.3 0 0 99.7 29.1 125
  〃            ×2000   3.0 7.0 0 0.1 92.9 25.6 123
  〃             〃   0.9 0.5 0 1.2 98.3 25.2 121
  〃            ×2500   2.9 8.2 0 1.8 90.0 25.6 123
  〃             〃   1.9 0.8 0 1.9 97.3 24.0 115
  〃             2%粉剤   2.5 6.0 0.3 1.8 91.9 25.0 120
  〃             〃   0.8 0.4 1.8 0.1 97.7 30.5 146



無散布 81.5 13.9 0.2 78.7 7.2 10.0 100
チオファネ−トメチル(水)×1500      7.3 12.2 23 0.6 84.9 21.7 217
  〃             〃   4.2 0.7 6.2 1.6 91.5 25.4 254
  〃            ×2000   6.7 11.3 0.8 3.8 84.1 24.0 240
  〃             〃   3.0 0.3 1.9 2.4 95.4 23.1 231
  〃            ×2500   7.0 14.2 0.4 3.7 81.7 19.1 191
  〃             〃   7.6 7.1 5.7 2.6 84.6 24.4 244
  〃             2%粉剤   6.2 4.1 6.2 2.7 87.1 25.2 252
  〃             〃   5.5 0.7 4.8 4.0 90.5 23.5 235



無散布 (×1/15)
80.5 0 0 97.2 2.8 16.9 100
チオファネ−トメチル(水)×1500     9.7 0 6.5 17.7 75.8 28.9 171
  〃             〃     7.8 0 12.8 0.3 86.9 30.0 178
  〃            ×2000     2.1 0 14.7 17.3 68.0 25.0 148
  〃             〃   ○    6.7 0 12.4 1.4 86.2 3.5 181
  〃             〃     9.5 0 16.0 0 84.0 31.0 183
  〃            ×2500     17.2 0 22.0 0.8 77.0 31.9 189
  〃             2%粉剤     17.7 0 11.8 17.4 70.8 28.6 169
  〃             〃     4.7 0 9.5 2.1 88.4 32.4 192
  〃             〃     7.3 0 14.7 0 85.3 34.4 204

  注) 調査方法:各区畦長1m3ヵ所全株抜取り、調査基準(指数0-4区分)により発病度(指数0-100)で表示