【指導参考事項】
1. 課題の分類
 2. 品種比較  14.作型、栽培型
2. 研究課題名  10月どりメロン作型設定試験
3. 期 間  昭46〜48
4. 担 当  道南農試園芸科  沢田 一夫
5. 予算区分  道単
6. 協力分担  −

7. 目 的
 ハウスの周年利用をはかる作物導入と作型設定ための抑制メロンの栽培を検討する。

8. 試験研究方法
項目/
年次
播種期 品種名 ベット形式 成熟期
の加温
1区株数
区・制
備 考
46年 6月10日
7月 1日
丸遠3号
ア−ルス・フエボリット
無 底
有 底
霜害予防
13℃以上
5株
4区制
各項目2水準の組合せ試験
47年 同 上 同 上 同 上 無加温
加温16℃
5株
2区制
同 上
48年 同 上 丸遠3号 有 底 無加温
加温18℃
10株
4区制
前2年の結果から集約


9. 結果の概要・要約
 ①育苗は従来通り25日育苗で3〜4葉の若令苗がよい。
 ②定植後活着をそこなうと、着果節位が上り品質も不良となるので特に注意を要する。
 ③生育日数は7月1日区が短く114〜125日、6月10日区は123〜129日である。 ④収穫時は6.10で10月24日〜11 月3日、7.1は10月11〜17日である。
 ⑤有底ベットでは着果後かん水不足から肥大が劣化し、1果重量は11〜20%無底ベットより小果となったが、糖分は高まる傾向で、これらの点は多収良質果生産を安定化する解決課題として残された。
 ⑥品種では丸遠3号が底節位から雌花が着花して有利のようである。外観的な差が多少あるが生育相は大差ない。
 ⑦1果平均重は1.300〜1.500で糖度は12度以上を示し、本作型としては十分である。
 ⑧肉質のメルテング化のためには、成熟後半の低温を防ぐ加温(16℃〜17℃)の効果が認められた。
 ⑨単純粗収入は2屯として59〜72万円/10aが見込まれる。
 ⑩本作型は道内ハウスの新作型として導入できる。
 ⑪10/20収穫目標では定植まで25日、開花まで25日、成熟まで65日(加温30日)計115日

10. 主要成果の具体的数字
 1. 生育と収量
播種期 品種名 着果節位(節) 開花期(交配月日) 収穫期(月日) 生育日数(日)
46年 47 48 46 47 48 46 47 48 46 47 48
6. 10 11.5 10.4 19.4 8.17 8.8 8.8 10.17 10.11 10.3 129 123 116
12.3 12.6    .18  .9     .19   .9   131 121  
7  .1 9.4 11.0 22.2 8.29 8.20 8.23 11.3 10.24 10.28 125 114 118
9.7 14.0    .28  .22     .3   .23   125 113  

1果平均重量 (g) 収穫率 (%) 収 量 (kg/a) 糖 度
46 47 48 46 47 48 46 47 48 46 47 48
1.174 1.369 1.721 95 100 68 185.8 228.1 180.8 12.9 14.7 12.0
1.068 1.245   90 100   160.1 207.4   14.0 14.4  
1.271 1.543 1.061 95 80 40 201.2 205.7 66.9 12.8 14.9 12.2
1.029 1.346   95 100   145.7 224.2   14.1 14.3  
  注) 無底、加温区について、ただし46年は13℃、48年は有底

 2. ベット形式による生育、収量
播種期 ベット
形式
開花期(交配月日) 終了時の生草重(g) 1果平均重(g) 糖 度
46 47 48 46 47 48 46 47 48 46 47 48
6.10 無底 8 .18 8 .10   1.067 955   1.223 1.534   12.9 14.8  
有底   .16   .9 8 .8 560 806 1.069 824 1.366 1.730 13.8 15.6 11.9
7.1 無底 8 .29   .21   856 1.029   1.049 1.360   14.1 14.2  
有底   .29   .19 8 .23 340 644 724 556 1.088 1.070 14.4 15.1 12.1
  注) 有底ベットで生育、1果重、糖度(46年のみ)で有意差あり

 3. 加温による果実品質
区別/
項目
加 温 無加温
6.10 7.1 6.10 7.1
無底 有底 無底 有底 無底 有底 無底 有底
香 り B A B A B B B B
メンテング質 2 3 23 3 2 2 2 2
  注) 香  A-有
         B-やや有
         C-無メルテング質
         4-良     3-やや良
         2-普通   1-やや不良
         0-不良

11. 今後の問題点
 1. 有底ベットによる果実の多収良質化
 2. 貯蔵性の高いメロン品種の導入と改良
 3. 育苗定植時における花芽分化肥大の解析による着果の安定化

12. 次年度の計画(成果の取扱い)
 道内ハウス栽培において、抑制キュウリ、トマト等既存作物に代わって普及をはかること。
6月どりマスクメロンの新作型設定