【指導参考事項】
寒冷期のハウス栽培(促成トマトおよび抑制キュウリ)における気温、地温の影響に関する試験
2. 抑制キュウリの寒冷期における夜間の気温および地温の影響
 試験年次 昭和47年
 北農試作物第2部園芸作物第2研究室
 担当者 小餅 昭二・田中 征勝

・ 目 的
 抑制キュウリはハウス内気温を8℃の設定とし、地中無加温とする時は11月中旬で生育が停止する。この生育停止の制限因子が気温か地温かを明らかにするとともに、作季の延長について検討する。

・ 試験方法
 (1) 供試試験 「夏崎落3号」 「さつきみどり」 「極光」
 (2) 暖房方法と温度組合せ
  1) 温風暖房機(HK300型) 設定温度8℃、15℃
  2) 電熱による地中加温、加温目標20℃
  3) 温度組合せ 気温 地温 略号



8℃
8℃
15℃
15℃
無加温
加 温(20℃)
無加温
加 温(20℃)
8-N
8-20
15-N
15-20
 (3) 7月11日は種、8月14日定植、試験終了12月20日


・ 試験成果の概要
 (1) 育苗期間が高温に経過したため節成性が低く、さらに防除が適期を失し露菌病が発生したことも原因して収量水準は例年の2分の1以下であった。
 (2) 気温0℃、地中無加温では、11月上〜中旬に生育、収穫が完全に停止した。気温8℃、地中加温では収穫期間は延長したが増収効果は低かった。
 (3) 気温15℃では地中加温、無加温とも収穫打切りの12月中旬まで収穫され、さらに収穫を続けることも可能の生育状態であった。
 (4) 気温0℃区では灰色がかび病が多発したが、気温15℃区ではほとんどで発生は認められなかった。
 (5) 供試5品種とも気温上昇の効果が大きく、地中気温の効果は小さいか全く認められなかった。
 (6) 以上の結果から抑制キュウリの生育にとって、地温よりも気温が制限因子であることが明らかとなった。したがって、作季の延長、収量増大を図るためには地中加温よりも気温を高めることが先決である。

・ 主要成果の具体的デ−タ−



 第1図 抑制キュウリの累積ならびに時期別収量(品種「夏崎落3号」)

・ 普及指導上の注意事項
 設定温度を高めることにより燃料消費量が増大するので市場価格との関係から作季の延長を検討する。