【指導参考事項】
タマネギ種子の缶詰貯蔵に関する試験
昭和44〜48年
北農試作物第2部園芸作物第2研究室
・担当者 小餅 昭二・永井 信

・ 目 的
 タマネギ栽培において、今後共同採種が進み、大量の種子を扱うようになると缶詰種子として取り扱う場合が増加すると考えられるので缶詰貯蔵について試験を行った。

・ 試験方法
供試種子  昭和44年産「札幌黄」種子
処理条件  a. 種子選別法(風選・水選)
 b. 種子含水率(通風乾燥、なし、2日、18日)
 c. 缶内種子充填度(93%、68%充填)
 d. 貯蔵条件(0〜5℃低温、室温)
缶詰製造  昭和45年2月18日 6号缶真空巻締
発芽調査  10℃と25℃で発芽勢(6日後)、発芽率(20日後打切)を調査した。 


・ 試験成績の概要
 1) 発芽力の低下の最も大きかったのは缶詰とせず、室温貯蔵した種子で、貯蔵3年後にはほとんど発芽力を失った。次いで通気乾燥を行わず缶詰とした種子の室温貯蔵での発芽力の低下が大きかった。
 2) 通気乾燥により種子含水率を9.0〜9.5%とした種子の缶詰貯蔵は、室温、低温のいずれの貯蔵条件でも3年後まで発芽力の低下はみられなかった。
 3) 風選と水選種子では発芽力に大きな差は認められなかった。貯蔵中に差を生じた例は缶詰とするときの種子含水率の差によるものと推定された。
 4) 缶内種子充填度は発芽力に影響はなかった。
 5) 貯蔵中に発芽率の低下した種子では発芽日数が延長し生育も低下する傾向が認められた。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
発芽率 (貯蔵3年後)
発芽試験温度 10℃ 25℃
貯蔵条件 選別法 風数日数 充填度 発芽勢 発芽率 発芽勢 発芽率





0 93 1.5 48.0 35.5 37.5
68 1.0 47.5 32.5 36.0
2 93 82.5 94.5 91.0 91.0
68 78.5 93.5 89.5 89.5
18 93 77.0 92.0 92.0 92.0
68 81.5 92.5 89.0 90.0


0 93 46.5 90.0 82.0 83.0
68 37.0 89.0 83.5 83.5
2 93 90.5 96.0 91.5 91.5
68 86.0 94.5 93.0 93.0
18 93 94.5 96.5 92.0 93.0
68 91.0 97.0 91.5 92.0
風選 2.5 7.0 1.0 1.5
水選 0.0 6.0 1.0 1.0





0 93 79.5 95.0 93.5 94.5
68 83.0 94.5 94.0 94.5
2 93 85.0 96.0 95.5 96.5
68 83.5 91.5 93.5 94.5
18 93 88.0 96.0 91.5 93.5
68 81.5 91.5 92.5 93.5


0 93 80.5 96.0 95.5 95.5
68 90.5 97.0 95.0 95.5
2 93 85.0 96.0 92.0 92.0
68 87.5 95.0 96.0 96.5
18 93 84.0 97.5 94.0 94.0
68 85.0 97.0 95.0 95.5
風選 62.0 94.5 88.5 89.0
水選 74.0 95.0 89.0 89.5

・ 普及指導上の注意事項
 1) 種子含水率は空気湿度に影響され易いので、乾燥後は速やかに缶詰とすること。
 2) 種子含水率9%程度で室温条件で3年間は貯蔵できるが、長期貯蔵するためには低温貯蔵が必要である。