【指導参考事項】
老令樹園における皆伐更新と間植更新の比較試験
・ 期 間  昭和38〜48年
・ 担 当  道立中央農試園芸部江部乙りんご試験地  小賀野 隆一
        道立中央農試園芸部                 細貝 節夫
           〃     〃  果樹科             峰岸 恒弥
・ 予算区分  道単
・ 協力分担  なし

・ 目 的
 老令樹口の更新に当たって、経済的負担をできるだけ軽くして、かつ速やかに目的が達成できる更新方法を明らかにする。
・ 試験方法
① 皆伐更新を栽植  昭和38年老令樹皆伐後スタ−キング/ミツバ1年生
② 間植更新
   スタ−キング区  昭和39年、10aに25本栽植されている老令されている老令樹間にスタ−キング/ミツバ3年生
 20本、レッドゴ−ルド/ミツバ3年生3本を栽植
 供試面積 10a 間植樹数 23本
   旭  区  同様に旭/ミツバ3年生を間植
 供試面積 10a 間植樹数 23本


・ 結果の要約
 ① 収量および収益−皆伐更新区では樹令の若いうちは収量、収益共に低いが、9年生になると急激に上昇した。一方間植更新スタ−キング区では、更新開始初期は老令の収量によりある程度の収益は保持されたが、新植樹の生育、収量の伸びが緩慢であった。そのため樹令9年生で皆伐更新区の収益の方が間植更新スタ−キング区より高くなった。
 ② 管理作業の難易−皆伐更新区に比し間植更新区はスタ−キング区、旭区両区共樹間距離が狭く、不同なため、薬剤散布、草刈、その他作業に不便であった。
 ③ 間植更新区の老令樹の取扱い−本試験では老令樹の皆伐時期が遅れたが、結果からみると更新開始5年目(間植樹令7年生)が皆伐適期だったと思われる。
 ④ 間植更新旭区は間植樹(旭)に凍害、雪害などによる樹体の損傷が著しく、昭和45年に試験から除外された。
 ⑤ 総合判断−老令樹間の更新法としては、皆伐更新が間植更新より優れた点が多く、更新に当たっては皆伐更新によることが望ましい。
<今後の問題点>
 皆伐更新において、初期の収益低下期間を最小にし、より短期間で更新の成果をあげうる方法の確立。
<注意事項>
 ① 皆伐更新に当たっては、口地全体を道宣に分割し、区画毎に伐採、新植することとし、何年間で更新を完了するか計画を立て、それに沿って実施すること。
 ② 1年苗では不利なので、2〜3年苗を準備しておくこと。
 ③ 老令樹伐採後、苗木植付け前に必ず土壌改良を行うこと。
 ④ 苗木の植付けに当たっては、立地条件、使用台木等を考慮し、適切な栽植様式をとること。
 ⑤ 必要があれば枝の誘引あるいは樹体に対する外科的処理等により結実促進を図ること。

・ 主要成果の具体的数字
 表1 収量の推移
樹令/
区別
4 5 6 7 8 9 10 11 12



(kg)



(kg)



(kg)



(kg)



(kg)



(kg)



(kg)



(kg)



(kg)
皆伐 新植スタ− 36 6 36 21 36 197 36 300 36 349 36 1.480 36 919 36 2.263     
間植
スタ−
老令樹 25 1.247 25 1.740 22 1.532 22 1.711 21 1.114 20 439 19 886 12 512 12 638
間植スタ− 20 1 20 10 20 12 20 234 20 370 19 215 19 618 19 435 18 783
 〃 RG 3 2 3 19 3 25 3 187 3 106 3 162 3 207 3 187 3 240
48 1.250 48 1.769 45 1.569 45 2.132 44 1.590 42 816 41 1.711 34 1.134 33 1.661
間植
旭区
老令樹 25 1.092 25 1.660 18 999 18 1.429 18 509 17 623              
間植旭 23 14 23 53 23 96 23 463 23 469 20 260
48 1.106 48 1.713 41 1.095 41 1.892 41 978 37 885            



図1. 樹冠占有面積の推移


図2. 粗収入の推移