【指導参考事項】
ハイブッシュブル−ベリ−品種比較試験
・ 課題の分類
・ 試験期間   昭和43〜48年(北農試)
          昭和38〜48年(中央農試)
・ 担 当  北農試園芸第1研  中島 二三一・西山 保直
        道中央農試果樹科 渡辺 久昭・松井 文雄・峰岸 恒弥・細貝節夫
・ 予算区分  経常、道単

・ 目 的
 ハイブッシュブル−ベリ−の本道への導入が考えられるので本道に適応する品種を見出す。

・ 来 歴
品種名 両 親 導入先・由来 試験場所
コンコ−ド ブルックス×ル−ベル 米、マサチュ−セッツ農試 北農試・中央農試
ジャ−ジ− ル−ベル×グロ−バ−   〃 〃
デキシ− (ジャ−ジ−×パイオニヤ)×スタンリ−   〃 
ル−ベル 野生種より選抜  〃 中央農試
コ−ビル デキシ−に同じ 福島園試   〃
バ−クレ− スタンリ−×(ジャ−ジ−×パイオニヤ)   〃   〃
バ−バ−ト バ−クレ−に同じ   〃   〃
ウエイマウス ジャ−ジ−×コバット   〃 および米国   〃
ワレハム ル−ベル×ハ−デング 東北農試   〃
ジュ−ン (ブルックス×ラッセル)×ル−ベル 米国 中央農試
ランコカス ジュ−ンに同じ  〃   〃
ペンバ−トン    同 上  〃   〃


 栽培法  北農試:表土を70cm堀上げ、泥炭と砂を3:1に混合した用土を入れpH4.2〜4.8で2.5×1.5mに栽植、乾燥時には灌水して清耕栽培。
 中央農試:巾30cm、深30cmの溝に泥炭を入れ1m間隔の列植とし清耕栽培。

・ 結果の要約
 (1) 品種により樹姿に若干の差があり、コンコ−ド、ル−ベル、ハ−バ−ト、バ−クレ−、ジュ−ン、ランコカス、ペンバ−トンは開張あるいは直立性で大きく、ウエイマウス、ワレハムは開張性で小さかった。
 (2) 収量はジュ−ン、ランコカス、ペンバ−トン、ハ−バ−ト、ウエイマウスが良く、ウエイマウスの収量は安定している。
 (3) 果実はコ−ビル、ウエイマウス、コンゴ−ド、ジャ−ジ−、ランコカスの糖度高く、食味はウエイマウス以外特に劣る品種はなかった。
 (4) 大なり小なり凍害が見られたが、ウエイマウス、ジュ−ン、ランコカスは凍害に強かった。
 (5) 総合的に見て優れた特性を示したのは早生種で、ジュ−ン、ウエイマウス、中生種で、ハ−バ−ト、ランコカス、ペンバ−トンであった。

・ 主要成果の具体的数字
 表1 収量(一樹当り g)
場所 品種/
年次
41 42 43 44 45 46 47 48 平均


コンコ−ド          181 104 1.395 12 423
ジャ−ジ−          229 185 1.040 501 489
デキシ−          284 898 1.657 183 756
ル−ベル          101 78 1.189 188 389
コ−ビル         361 587 1.037 279 566
バ−クレ−         79 166 657 368 317
ハ−バ−ト         1.251 90 2.330 971 1.160
ウエイマウス         1.630 112 3.578 2.861 2.045
ワレハム         - - 13.5 3.0 -



コンコ−ド 19 85 163 92 78 0 40   53
ジャ−ジ− 0 29 - 87 336 2 464   222
ル−ベル 12 81 290 196 228 11 295   183
ウエイマウス 56 67 - 761 915 26 644   587
ジュ−ン 18 372 508 2.297 2.606 59 2.272   1.809
ランコカス 22 51 - 848 1.694 96 756   849
ペンバ−トン 0 36 275 534 518 10 1.536   650
  注) 中央農試の平均は44〜47年の平均

 表2 果重と糖度
場所 項目/
年次/
品種
一果重(g) 糖度(%)
44 45 46 47 48 平均 44 45 46 47 48 平均


コンコ−ド   0.8 1.5 1.1 1.5 1.2   - 11.3 11.0 - 11.2
ジャ−ジ−   1.1 1.7 1.5 1.5 1.5   - 11.3 10.4 12.1 11.3
デキシ−   1.3 1.4 1.3 1.4 1.4   - 11.5 11.6 11.8 11.6
ル−ベル   0.8 1.3 1.2 1.0 1.1   - 12.1 11.2 11.6 11.6
コ−ビル   1.4 2.0 1.5 2.0 1.7   13.4 12.0 11.4 12.6 12.4
バ−クレ−   1.6 2.1 1.6 2.3 1.9   12.0 11.6 11.1 11.4 11.5
ハ−バ−ト   1.8 2.3 1.6 2.2 2.0   12.1 11.6 11.1 12.2 11.8
ウエイマウス   1.5 2.0 1.3 1.8 1.7   11.1 12.0 13.2 13.6 12.5



コンコ−ド 1.6 1.3 - 1.3   1.4 12.6 11.7 - 12.8   12.4
ジャ−ジ− 1.9 1.3 - 1.5   1.6 12.0 12.6 - 11.5   12.0
ル−ベル 0.9 1.2 1.1 1.0   1.1 11.0 11.9 10.7 11.5   11.3
ウエイマウス 1.3 1.6 1.4 1.6   1.5 11.7 10.4 10.8 11.2   11.0
ジュ−ン 1.5 1.4 1.1 1.0   1.1 10.9 11.3 11.1 12.8   11.5
ランコカス 1.3 1.3 1.3 1.1   1.3 12.8 11.7 12.5 13.2   12.6
ペンバ−トン 1.7 2.2 1.8 1.9   1.9 10.4 12.9 11.6 11.9   11.7

・ 今後の問題点
 (1) ロ−ブッシュブル−ベリ−など他のブル−ベル−類の検討
 (2) 利用加工の検討

・ 成果の取扱い
 (1) 適用地帯は道央以南の泥炭地とするが泥炭地以外では植穴に泥炭をすき込むことが望ましい。
 (2) 栽植密度は10a当り250〜400本とし、樹間は1.5mとするか又は1.6×2.5程度の方形植えとする。
 (3) 土壌管理法は清耕法(マルチを併用してよい)とし、施肥は早春に10a当りN.P.K3〜6kgを与え、必要ならば6月に1kg程度追肥する。
 (4) 収穫は同一品種を2〜3回に分けて行うようにする。