【指導参考事項】
復元田に対する技術対策資料(実態調査)
                    (昭和48年)
                   農業改良課

・ 調査目的
 現地における復元田の水稲栽培の実態調査と現地試験とにより、復元田における水稲栽培技術の問題点の摘出と対策を樹立するための資料を得る。

・ 調査方法
 現地における復元田の水稲栽培実態調査を各地区の農業改良課普及所に依頼し、調査結果は34地区農業改良課普及所より86事例が報告され、対策試験は中央、上川両専技室で設計助言して15地区農業改良普及所が実施した結果をそれぞれ分析し、検討した。
 実態調査は道央南地域(塩狩峠以南)70例と道東北地域(塩狩峠以北と道東)16例とに大別し、これを半湿ほ、乾燥のよいほ場、泥炭及び泥炭質ほ場に分け、更にそれぞれについて次の如く区分し検討を行なった。

     放任ほ場
   単純休耕ほ場   
除草管理ほ場
          
牧草・てん菜(けい葉すき込み)
   転作ほ場
その他の作物の栽培ほ場

・ 調査結果の概要
 1. 実態調査及び対策試験の検討結果からは昭和48年9月に道が発表した「休耕田の水田復帰に対する当面の技術対策」qお大巾に改訂を要する事項はなかった。
 2. 復元田は初期生育が劣るが、後出来で草出来がよくなり出穂成熟は5日内外おそく多収になる場合が多い。しかし粗大有機物のすき込み量の多いもの、窒素肥料の控えた量の少ないものに減収が目立つ。
 3. 半湿田で休耕中除草をしていた跡地、乾田また半湿田で有機物のすき込み量少ない跡地は安定した稲作となるが、半湿田、泥炭地で残渣の多い作物の跡地は不安定な稲作に最もなりやすく、乾田、半湿田の有機物が多く入ったほ場、泥炭地の残渣の少ない作物を栽培したほ場も不安定な稲作になりやすい傾向にある。
 4. 復元田の作付品種は地帯の中性の晩、ときには晩性種を栽培しているが中性種の早までで耐倒状性、耐病性、耐冷性の強い品種を選ぶ要のあることが認められた。
 5. しろかき前はもちろん、しろかき後においても用水量が著しく多く要した。
 6. 生育中の土壌状態は還元の進みが目立たない例もあるが、有機物の混入の多いものは強い土壌還元が生じ、根くされ現象がみられ、水稲は後出来の生育相となった。したがって前年すき込み、透水性不良田は粗大有機物のほ場よりの搬出、場合によっては1年間残渣の少ない作物を栽培してから復元田にするなどの必要性が認められた。また、生育には中干を要する場合も認められた。
 7. 復元田の施肥は成否を左右する大きな要素となるが「休耕田の水田復元に対する当面の技術対策」の土壌別施肥対策暫定基準の範囲内で最も施用量の多いもの、あるいはこれより多目にすることがよい傾向があった。 8. 本年は天候に恵まれ、病害虫の防除がよく行われたため、水稲は健全な生育をし、病害虫の発生には一定傾向が見あたらなかった。しかし病害虫の被害は受けやすい生育相であるので、健全な生育をはかる栽培法をとり防除に万全を期することがたいせつであることを認めた。

・ 主要成果の具体的デ−タ
 省略

・ 普及指導上の注意事項
 省略