【指導参考事項】

1.　課題の分類　　野菜(機械)
2.　研究課題名　　ニンジンの機械化に関する試験
　　　　　　　　　　　(播種機の利用)
3.　期　間　　(昭47〜49年)
4.　担　当　　道立中央農試農業機械部
5.　予算区分　　総合助成
6.　協力分担

7.　目　的
　精密播種機の性能を明らかにし、間引労力の関連からニンジン栽培の省力化をはかる。

8.　試験方法

1.　実施期日および場所　　夕張郡長沼町　農家圃場

　　　播種48年4月19日、間引6月11〜18日　収穫8月3〜26日

2.　供試機　　スタンヘイ4畦、多木1畦、シ−ドテ−プ2畦　

3.　処理区

品種播種機穴径(cm) 株間(cm)

5寸チャンテネスタンヘイ 4.0 8

4.0 7

3.5 8

3.5 3

4寸 US スタンヘイ　 4.0 7

3.5 3

多木 5.0 7

シ−ドテ−プ　 12

MS シ−ドテ−プ　 12

4.　調査項目

　1)　播種量
　2)　圃場発芽率
　3)　間引精度
　4)　間引能率
　5)　収穫能率
　6)　収量

9.　結果の概要・要約
　(1)　播種精度は品種により異なり、欠株率はチャンテネが少なく、USは毛付、枝梗が多いため増加した。
　(2)　圃場発芽率はスタンヘイ−チャンテネ区が40〜60%と最も高く、US区では20%と低く、品種差がみられた。シ−ドテ−プ区はMS区で10〜20%、USで5〜10%と、覆土が深いことも原因して低かった。多木区は25〜45%であった。
　(3)　間引後の株間は、スタンヘイ−チャンテネ区で8〜9cm、シ−ドテ−プは発芽が低かったため、19〜25cmと広く、密度は1万本程度であった。多木区は15〜16cmであった。
　(4)　間引労力は発芽密度により異なり、7〜8cm点播では10a当り12〜15人時であるが、3cm点播では16〜17人時と労力が増大した。
　(5)　収穫労力は発芽密度1〜1.5万本/10aで24人時/10aであるが、スタンヘイ区では3万本前後と多いため2倍の労力を要する。
　(6)　収量は栽培密度の高いスタンヘイ区が2.550kg/10aと高く、多木区が2.460kg/10a、シ−ドテ−プ区は1.120kgであった。

10.　主要成果の具体的数字

　図1.　種子の種類と欠株率

　表1.　圃場発芽率

テ
ス
ト
NO. 調査区欠株率
(%) 1粒当粒数
(粒) 発芽率
(%) 10a当発芽数
(×10³)

1 チャンテネ
4.0〜48 4.0〜8.0 2.1〜2.4 48.1〜55.5 64.8〜74.8

2 4.0〜56 7.0〜8.8 2.4〜2.6 50.5〜54.1 88.1〜94.3

3 3.5〜144 10.5〜24.8 1.3〜1.8 37.5〜54.6 104〜152

4 3.5〜48 22.0〜26.0 1.4〜1.5 41.1〜44.0 45.3〜48.4

7 US
4.0〜56 21.1〜52.6 0.7〜1.2 17.0〜28.8 26.4〜44.7

8 〃
3.5〜144 56.4〜68.4 0.4〜0.6 18.3〜25.5 35.2〜49.1

9 NS．シ−ドテ−プ 5.9〜57.6 0.7〜2.1 9.3〜27.6 15.0〜44.4

10 US．シ−ドテ−プ 36.4〜87.9 0.2〜0.9 1.9〜15.2 3.1〜24.4

11 US．多木 24.2〜39.3 1.5〜2.3 24.8〜44.0 59.4〜105.0

　表2.　間引精度

テ
ス
ト
NO. 平均株間
(cm) 間引後残留株率
(%) 栽培密度
(本/10a)×10³

1 8.5〜8.6 98.0〜102.2 29.6

2 8.1〜8.8 86.6〜91.0 28.3〜31.5

3 8.6〜9.6 117.5〜123.5 26.4〜29.6

4 9.9〜12.3 89.2〜105.0 20.8〜25.8

7 9.4〜17.4 89.0〜95.5 15.1〜27.0

8 8.6〜9.2 78.7〜69.5 20.1〜20.8

9 18.7〜20.3 95.7〜100.0 11.9〜13.8

10 18.6〜24.8 106.2〜110.0 10.6〜13.8

11 14.6〜16.3 116.8〜125.0 15.6〜17.5

　表3.　間引労力

テ
ス
ト
NO. 種子 10a当芽数
(×10³) 労働量
(人時/10a) 株間
(cm)

1 チャンテネ 78.0 12.5 8

2 113.6 15.0 7

3 178.0 17.5 3

6 82.6 13.3 7

7 US 31.8 11.8 7

8 46.2 15.6 3

　表4.　収穫労力

収穫
日数時間
(時) 人員
(人) 労力
(人時) 面積
(a) 10a当
労力

8/3〜8/7
4日 37.2 28 207.2 86.4 24.0

　表5.　処理別収量

処理区スタンヘイ
US スタンヘイ
チャンテネシ−ドテ−プ多木

面　積 6.0 22.5 107.3 65.2

収　量 1250 5740 12050 16050

10a当り収量 2080 2550 1120 2460

11.　今後の問題点
　精密播種機に適合できるような品種の選定と種子の精選技術の向上を計る必要がある。

12.　次年度の計画
　スタンヘイ−チャンテネ

テスト NO.	調査区	欠株率 (%)	1粒当粒数 (粒)	発芽率 (%)	10a当発芽数 (×10³)
1	チャンテネ 4.0〜48	4.0〜8.0	2.1〜2.4	48.1〜55.5	64.8〜74.8
2	4.0〜56	7.0〜8.8	2.4〜2.6	50.5〜54.1	88.1〜94.3
3	3.5〜144	10.5〜24.8	1.3〜1.8	37.5〜54.6	104〜152
4	3.5〜48	22.0〜26.0	1.4〜1.5	41.1〜44.0	45.3〜48.4
7	US 4.0〜56	21.1〜52.6	0.7〜1.2	17.0〜28.8	26.4〜44.7
8	〃 3.5〜144	56.4〜68.4	0.4〜0.6	18.3〜25.5	35.2〜49.1
9	NS．シ−ドテ−プ	5.9〜57.6	0.7〜2.1	9.3〜27.6	15.0〜44.4
10	US．シ−ドテ−プ	36.4〜87.9	0.2〜0.9	1.9〜15.2	3.1〜24.4
11	US．多木	24.2〜39.3	1.5〜2.3	24.8〜44.0	59.4〜105.0

テスト NO.	平均株間 (cm)	間引後残留株率 (%)	栽培密度 (本/10a)×10³
1	8.5〜8.6	98.0〜102.2	29.6
2	8.1〜8.8	86.6〜91.0	28.3〜31.5
3	8.6〜9.6	117.5〜123.5	26.4〜29.6
4	9.9〜12.3	89.2〜105.0	20.8〜25.8
7	9.4〜17.4	89.0〜95.5	15.1〜27.0
8	8.6〜9.2	78.7〜69.5	20.1〜20.8
9	18.7〜20.3	95.7〜100.0	11.9〜13.8
10	18.6〜24.8	106.2〜110.0	10.6〜13.8
11	14.6〜16.3	116.8〜125.0	15.6〜17.5

テスト NO.	種子	10a当芽数 (×10³)	労働量 (人時/10a)	株間 (cm)
1	チャンテネ	78.0	12.5	8
2		113.6	15.0	7
3		178.0	17.5	3
6		82.6	13.3	7
7	US	31.8	11.8	7
8	US	46.2	15.6	3

収穫日数	時間 (時)	人員 (人)	労力 (人時)	面積 (a)	10a当労力
8/3〜8/7 4日	37.2	28	207.2	86.4	24.0

処理区	スタンヘイ US	スタンヘイチャンテネ	シ−ドテ−プ	多木
面　積	6.0	22.5	107.3	65.2
収　量	1250	5740	12050	16050
10a当り収量	2080	2550	1120	2460