【指導参考事項】
1. 課題の分類  野菜(機械)
2. 研究課題名  ニンジンの機械化に関する試験
            (収穫機の利用)
3. 期 間  (昭47〜49年)
4. 担 当  道立中央農試 農業機械部
5. 予算区分  総合助成
6. 協力分担

7. 目 的
 収穫機の性能を明らかにし、現地適応性を検討する。

8. 試験方法
1. 実施期日および場所 生食用
加工用
昭和48年8月
昭和48年10月
中央農試圃場
河西郡芽室町
2. 供試機
   全長3855mm
   全幅2026
   全高1490
    
3. 調査項目
  ①所要動力:回転動力、牽引抵抗 ②作業精度:引抜残し、
   切断長、茎葉付割合 ③損傷 ④貯蔵試験 ⑤作業能率


9.結果の概要
 (1) トルクは供給量にかかわらず、ほぼ一定値を示し、4〜4.5kg-mで、軸馬力は1.5〜3psであった。索引抵抗は300kg前後であり、索引馬力は作業速度0.4〜0.9m/sで2〜4psであった。
 (2) 収穫特性については、ベルトの挾握高さが8cmで引抜残しが多発した。根部が大きいと切断長が若干長くなる。茎葉は倒れが多いと茎葉付割合が増加した。作業速度とベルト速度比は1以上が良好であった。
 (3) 生食用ニンジンの収穫性能
  a.切断長が1.1〜1.4cm、茎葉付割合は13〜38%であった。引抜残しは0〜25%と変動が大きいが、掘取部が畦列に適切に保たれれば、僅少にとどめることができる。
  b.損傷の大部分がタッピング時に発生し、肩部に100%の微少なすり傷がついた。茎葉着生部からえぐり取られる場合が多く、20〜45%に及んだ。かけ傷は10〜20%、折れは少なかった。
 (4) 加工用ニンジンの収穫性能
  a.往復播きで畦間に広狭があり、引抜残しは1.2〜18.9%であったが、適切な畦であれば、5%以下にとどめることができる。
  b.タッピング精度は切断長が2.1〜2.7cmに分布し、未切断茎葉付は1〜13%であった。すり傷も13〜29%と少なく、良好な収穫ができた。
  c. 作業能率は、0.37〜0.46m/6時で2.7〜3.7a/hrであった。畦間を50cm以上にすると、作業速度を1.0m/sに高めることができ、能率も向上する。
  d.貯蔵による品質の劣化は、重量減少率では手抜が機械収穫より良好であったが、速度間の差異は明確でない。収縮、硬度については明確な結論を出すに至らなかった。

10. 主要成果の具体的数字

 図1. 回転動力


 図2. 牽引動力

 表1. 生食用ニンジン収穫性能
作業速度
(m/s)
PTO回転数
(rpm)
茎葉切断長
(cm)
茎葉付割合
(%)
引抜残り割合
(%)
エグリ傷
(%)
かけ傷
(%)
割れ
(%)
折れ
(%)
0.63 260〜297 1.2±0.7 23.2 13.9 25.0 19.6 0 1.8
0.84 367〜370 1.1±0.5 12.9〜27.8 3.6〜22.5 37.0〜45.2 16.7〜19.4 0 0〜3.2
1.04 465 1.4±0.6 26.2〜37.8 2.2〜11.6 31.1〜39.3 4.4〜14.8 8.9 0〜2.2

 表2. 加工用ニンジン収穫性能
作業速度
(m/s)
PTO回転数
(rpm)
茎葉切断長
(cm)
茎葉付割合
(%)
引抜残り割合
(%)
土砂付着率
(%)
すり傷
(%)
エグリ傷
(%)
かけ傷
(%)
0.7 290 2.2〜2.6 2.6〜10.8 5.6〜15.5 2.5〜3.3 12.5〜68.8 0〜4.2 0〜16.7
1.0 390 2.1〜2.7 3.6〜6.8 1.2〜18.9 1.8〜5.3 20.8〜25.0 4.2 4.2〜12.5
1.1 490 2.3〜2.5 0.9〜12.8 2.6〜13.5 1.3〜2.0 16.7〜37.5 0 4.2〜8.3

 表3. 作業能率
項目 実作業 回行 茎葉除去 合計時間 能率
(a/hr)
作業速度
(m/s)
平均 2°2'15" 37'22" 16'28" 2°56'5" 3.1 0.4

11. 今後の問題点
 加工用ニンジンには十分利用できるが、生食用ニンジンにはタッピング時の損傷発生と切断状態の面から利用がむずかしい。

12. 次年度の計画
 タッピングの改良