【指導参考事項】
1. 課題の分類  分類番号6-3 整理番号1
2. 研究課題名  とうもろこしのピッカ−シェラによる収穫技術
3. 期 間  (昭46〜)
4. 担 当  北農試畑作部 機械化栽培研究室
5. 予算区分  経常
6. 協力分担

7. 目 的
 とうもろこしのピッカ−シェラによる機械化収穫法の確立をはかる。

8. 試験研究方法
 1) 供試機 ピッカ−シェラ(New Idea社製 No.325 Picker+No.314 sheller)
トラクタ(MF135)
 2) 供試作物 とうもろこし(交4号)
 3) 調査項目 損傷粒割合、圃場損失率、作業能率
 4) 供試機の主な改造
  ① ワゴン積込用のエレベ−タオ−ガをバケットエレベ−タに改造
  ② 同時に、ワゴン積込方式をホッパ方式に改造(容量:1000L)


9. 結果の概要・要約
 (1) 前年度の結果をもとに、バケットエレベ−タに改造、損傷粒割合は前年のエレベ−タオ−ガをはずした場合の結果とほぼ同じ10%以内にとどまった。
 (2) 圃場損失率では、10%前後の損失をみたが、手もぎ収穫との比較では、5%以内であった。このことは調査方法の問題として今後検討を要する。作業速度との関連を、0.61m/secと0.93m/secについて検討した。時期遅れの倒状のかなりみられる条件では、低速において良好な結果が得られた。
 (3) 穀粒ホッパを取付け、ワンマンオペレ−ション化し、作業の合理化を目指した。今回の試験では、ha当り3〜4時間の作業能率である。
 (4) ピッカ−シェラにより脱粒収穫される子実は、含水率30〜35%であるが、5tonサイロでの常温通風乾燥により、3日(約72時間)で製品としての仕上げが可能である。

10. 主要成果の具体的数字
 表1. ピッカ−シェラによる子実損傷割合
調査
年月日
子実含水率
(%)
シリンダ
回転数rpm
(同速度m/sec)
精粒割合
(%)
損傷粒割合
(%)
大φ
>6.4mm

6.4〜4.8

4.8>
ピッカ−シェラ改造型
(バケットエレベ−タ)
73.11.2 30.6 770
(8.5)
90.9 7.5 1.0 0.6
ピッカ−シェラ
(エレベ−タオ−ガ、グレインオ−ガ)なし
72.11.8 30.3 820
(93.0)
90.3 7.3 1.5 0.9
コ−ンシェラ
(ドラム形)
72.11.10 33.0 500
(8.7)
91.7 5.3 1.9 1.1
ピッカ−シェラ原形 72.10.24 33.0 820
(9.0)
76.9 17.7 3.2 2.2

 表2. ピッカ−シェラ収穫作業における圃場損失
作業速度
(m/sec)
圃場損失
(A kg)
収穫量B 推定収量
A+Bkg
収穫時
子実水分含水率
kg (%)
手もぎ収穫   0 82.8 (100.0) 34.5
ピッカ−シェラA   0.61 8.68 82.5 (99.6) 32.5
% (9.5) (90.5)  
ピッカ−シェラB   0.93 10.89 78.1 (94.3) 32.5
% (12.2) (87.8)  
  ※ 各区は2畦(畦間0.65m)×128m(166m2)とし、各々5反復。
  ※ ほ場損失は2畦×10m(13m2)でサンプリング。
  ※ 手もぎ収穫は熟穂でけを、作業者の判断で収穫、ほ場損失は0。
  ※ 収量はすべて子実含水率15%に換算。

 表3. ピッカ−シェラの作業能率 (10a当り作業時間)
作業速度
(m/sec)
実作業
分(%)
荷おろし
分(%)
廻行
分(%)
その他
分(%)
全作業時間
分(%)
作業能率
(hr/ha)
A 0.61 21.0
(80.8)
3.0
(11.5)
1.5
(5.8)
0.5
1.9
26.0
(100.0)
4.33
B 0.93 14.0
(73.7)
3.0
(15.8)
1.5
(7.9)
0.5
(2.6)
19.0
(100.0)
3.17
  畦間0.65m  畦長256mの圃場条件による。

11. 今後の問題点
 収穫後の低コスト乾燥、貯蔵法の確立。

12. 次年度の計画(成果の取扱い)
 作業能率向上の検討
 乾燥・貯蔵法の検討