【指導参考事項】
1. 課題の分類  新得畜試 農業土木−E
2. 研究課題名  農牧道補修用スト−ンレ−キ
3. 期 間  昭48
4. 担 当  新得畜試 種畜部・馬産科(大森 昭治・丸矢 義徳)
5. 予算区分  道費
6. 協力分担  なし

7. 目 的
 農道、牧道の補修は現段階では、トラクタ−に排土板をつけて、地ならしをするか、人力で整地補修する方法しかない。そこで、廃用となった車体を主体に若干、丸鋼を取付け、安易に路傍の障害物を除去し、モア−が使えるようにすると同時に路肩ならしを行い、農機具及び生産物の運搬を容易にする。

8. 試作方法:
 (1) 材料
  1) 溝形鋼(古フレ−ム)
  2) 丸鋼10m
  3) その他 太めのワイヤ−ロ−プ、鉄環、豆サック、タルキ、古スプリング等を用い、補強には本体(L型)の残りのフレ−ムを適宣切断して使用する。
  4) ドロ用古レ−ル4m(レ−ルがなければアングルでも可)
 (2) 製作方法
  1) フレ−ムをL型に切断し本体とする。
  2) 残りは補強用としてトラクタ−に取付けられるよう適宣切断して組立てて熔接する。(この場合、トップリンク用控えは本体を反転したときにも使えるよう、取りはずしが可能であることが望ましい。)
  3) 丸鋼を長さ25cmに切断し、一方を尖らせ、他の一方の角をおとし、本体下部に10cm間隔に熔接する。
  4) 本体の上面に古レ−ルを25cm間隔に話して平鉄で6〜8ヵ所に取付け熔接する。
  5) 古スプリング30cm長さに切断して一方を曲げてスキ−状にし、本体石前方に取り付ける。(取り外しができるようにすれば便利である。)
 (3) 補助用具
  1) ワイヤ−ロ−プで牽引網を作り本体後方と左前方にサックで取付ける。
    (本体を反転して均平作業や、トラクタ−がスリップした時などに使用する。)
  2) 長さ1.5mのタルキ−の一方を尖らせる。(本体の取はずし、またはレ−キで逃した石等を掘り出す時に使用する。)
  3) これらは使用しないときには、本体後部に針金などで結びつけておく。


9. 結果の概要
 (1) このレ−キは間隔が10cmであるが、牽引角が45°なので実際に集められる玉石は8cmくらいの大きさまで完全に集められる。
 (2) 路肩をならして路面より低くすると、雑草及び障害物の除去に効果がある。
 (3) 本機を左右前後に調節することにより、側溝を30cmくらいまで浚渫が可能である。
 (4) 本機を反復して牽引するとより一層路面の均平作業に効果があった。

10. 主要成果の具体的数字
 表1. 採石精度  (%)
大きさ(cm)
/処理
(玉石)
20以上
20〜8 8〜4 4〜2 2以下
牽引前 9 18 22 16 35
 〃 後 0 8 36 18 38

 表2. 牽引後の均平度  (cm)
部位/
処理
A B C
草量
(kg/m2)
 
牽引前 3.500 110 >120 >100
 〃1回後 3.300 113
 〃3回後 1.750 120
 〃5回後 560 125
  注) 表2のAは路肩、Cは中心、Bはその中間を示す。

11. 今後の問題点
 本機の重量は270kg程度なので、堅くなった路肩をならす場合には約200kgのウエイトを加えることにより、効果を高めることができる。

12. 成果の取扱い
 (1) 本機は1〜2回路傍(路肩)を牽引することによって障害物(玉石、バラ線、アングル、抜根、木片等)を簡易に除去し、次回には安心してモア−で刈取ることができる。
 (2) 本機を反転しても牽引できるようにしたことが本機の特徴である。
 (3) シュ−は両方とも取り外しができるようにピン等で取り付けておくと便利である。
 (4) レ−キの取付けは丸鋼の頭部の面を必ず落としてから熔接すると丈夫である。
 (5) 補助用具として本機には牽引網と先を尖らせたテコ棒を取り付けたが、ショベル、鎌の代用となるものなどを取付けておくと便利であろう。
 (6) 本機を使用するトラクタ−には、ホロントロ−ダ(ショベル付)を併用すれば、レ−キで集めた玉石を直ちに拾うことができるので効果が大きい。
 (7) 本機を他の作業機(棒ハロ−・ツ−ルハロ−等)と効果についての比較をしたが、ハロ−は、玉石などを撹散する効果はあったが、集める効果はなく、本機との比較ができなかった。