【指導参考事項】
1. 課題の分類  分類番号  D-15 供試作物 牧草
2. 研究課題名  こん包乾草運搬用グラスボ−ト
3. 期 間  昭47〜48
4. 担 当  新得畜試 種畜部・馬産科(福井 孝作・大森 昭治)
5. 予算区分 道費
6. 協力分担  なし

7. 目 的
 現在、牧草のこん包作業は、ベ−ラ−から草地に直接落とされたベ−ルを更に人力で拾い集め、運搬車に積込む多労な方法をとっているのが大半である。そこで集積労力の省力省力化のため、ベ−ラ−後部に牽引する装置を考案する。

8. 試作方法
 (1) 材料−タルキ12本、ヌキ18枚、平角材1本、丸鉄1m、鉄パイプ1.6m、平トタン4.5枚、波トタン8枚、その他ボ−ルト、ナット、ワイヤロ−プ、ワイヤ締め等。
 (2) 材料の加工 ①スライド装置は平角材の両端に孔をあけワイヤロ−プを固定し、他端は環状とする。また、20cmの丸鉄の一端を尖らし、80cmの鉄パイプのこの丸鉄を挿入し熔接して止め棒とする。 ②牽引網は各20cmの丸鉄から鉄環3ヶを作り、2ヶはボ−ルトに熔接してそれにワイヤロ−プを固定し、ロ−プの他端を1ヶの環に固定する。
 (3) 本体の組立て ①タルキを前方に3本、残りのタルキを後方2.7mの間に等間隔に並べる。 ②本体を反転して同様にヌキを格子状に9枚打付けて表面とする。 ③本体を反転して同様にヌキを打付け平トタンを張付けて接地面とし、 ④本体の前面に牽引網を取付ける。 ⑤表面に波トタンを縦に張付けてベ−ル堆積面つする。

9. 結果の概要
 この装置にはベ−ルを4段まで積むことができ、更に、スライド操作が簡単である。ボ−トは310kgで、これに48ヶのベ−ルと補助員2名を積載した場合の牽引抵抗は0.5t前後である。

10. 主要成果の具体的数字
 牽引抵抗(ボ−ト重量310kg)
重量/
条件
積載なし(310kg) ベ−ル48ヶ
(310+624=934kg)
圃場 平地 150 470
上り8〜10° 155 510
下り 〃 146 458
  注) スライド時止め棒の両方にかかる抵抗は150〜160kgであった。

11. 今後の問題点
 このグラスボ−ドは接地面に平トタンを張付けたので、草地内の帝引には適するが、農道や砂利道には適さないので、厚めの鉄板を張ることにより安心して使用できる。

12. 成果の取扱い
 (1) このボ−トの特徴−①ベ−ル堆積面に波トタンを縦に張付けてあるため、ベ−ルと作業員がすべらない。 ②スライドさせる場合の止め棒には、パイプと鉄棒との熔接部が段になっているため、ワイヤロ−プがいっきょに所得者の手もとにははね上がらない。 ③スライドにあたり、保持している止め棒にかかる抵抗は積載重量の約4/1であり、保持が容易である。 ④スライドの際ベ−ルが波トタンに寄せられる格好で滑り落ちるので、筒くずれの心配がない。
 (2) ボ−ト製作上の注意点−①ベ−ル堆積面は初めに並べられたタルキよりも後方にヌキが、更にそのヌキよりも波トタンが、それぞれ約90cmはみだすようにする。 ②木材を用いずに厚めの鉄板のみを熔接して使うことも考えられるが、堆積物と、作業員が不安定である。
 (3) 使用上の注意点−①ベ−ル堆積段数は4段までとし、それ以上は危険なので積まないこと。 ②スライド時の止め棒はじゅうぶん地面に差し込み、必ず後方に約45度傾斜させて保持すること。 ③ベ−ルを即日格納するときはそのままスライドさせるが、後日格納する場合はスライド前にシ−トをかけておくと一層筒くずれの心配がない。 ④スライドする小堆積の位置は次の積込み作業の能率を考慮した配列とすること。