【指導参考事項】
1. 課題の分類  新得畜試 乳牛 衛生
2. 研究課題名  子牛の発育障害に関する試験
        −乳用子牛に対する初乳給与について−
3. 期 間  昭42〜46
4. 担 当  研究部・衛生科(八田 忠雄・工藤 卓二・岸 晃司・谷口 隆一)
5. 予算区分  道費
6. 協力分担  なし

7. 目 的
 乳用子牛に対する初乳の給与時期とその給与量が血清総蛋白量および血清蛋白分画(主にr−グロブリン)におよぼす影響を検討する。

8. 試験研究方法
 (1) 子牛出生後初乳給与時間の検討
 (2) 子牛出生後初乳給与時間および給与量の検討

9. 結果の概要・要約
 (1) 初乳中に富有するr−グロブリンの子牛血中への移行は、生後8時間までに初乳を給与した場合には容易に移行したが、12時間を経過すると個体によって低いものが出始め、24時間ではきわめて少なかった。
 (2) 初乳を2回給与した場合、r−グロブリンの移行は、4・8時間群が4・12時間群より大きい傾向を示した。
 (3) 生後24時間までに初乳を6回(1回量1.0kg)与えた群と自然哺乳群(3日間母乳と同居)では、r−グロブリンの移行は前者がやや高い傾向を示した。

10.主要成果の具体的数字
 初乳給与時期および給与量と血清r−グロブリンの移行
血清r−グロブリン量
初乳給与後の経過
  処理 生後初乳
給与時間
(時間後)
給 与



(頭)
初乳給与時 12時間 2日 4日 8日
回数 総量(kg) g/dl cv(%) g/dl cv(%) g/dl cv(%) g/dl cv(%) g/dl cv(%)


A-1 4 1 1.2 2 0.00 (0.0) 0.65 (34.8) 0.62 (18.7) 0.33 (6.2) 0.32 (13.7)
A-2 8 1 1.2 2 0.00 (0.0) 0.81 (1.8) 0.70 (9.0) 0.43 (15.2) 0.31 (16.0)
A-3 12 1 1.2 3 0.01 (33.5) 0.51 (61.5) 0.33 (66.8) 0.35 (60.4) 0.24 (99.9)
A-4 24 1 1.2 2 0.00 (0.0) 0.11 (57.9) 0.12 (76.6) 0.09 (49.5) 0.12 (53.0)


B-1 4.8 2 2.4 2 0.00 (0.0) 1.86 (47.5) 1.48 (61.5) 1.22 (32.2) 1.03 (39.7)
B-2 4.12 2 2.4 2 0.02 (141.1) 0.98 (16.4) 0.84 (2.6) 0.74 (16.2) 0.70 (0.0)


C-1 3・6・9・
12・16
20
6 6.0 2 0.00 (0.0) 1.61 (45.0) 2.01 (21.4) 1.80 (16.9) 1.44 (19.8)
C-2 自然
哺乳
? ? 6 0.00 (0.0) 1.19 (56.2) 1.45 (47.6) 1.24 (22.0) 1.01 (39.0)
  注)  1) 給与した初乳は分娩直後初回に搾乳した乳汁である。
     2) 給与量は試験Ⅰ、Ⅱでは1回量1.2kg、C-1では1.0kgである。
     3) C-2は出生3日令まで母牛と同居させた。

11. 今後の問題点

12. 成果の取扱い
 (1) 分娩後母牛から子牛を直ちに離し、人工的に哺乳する育成法をとっている場合、子牛に抗病性を付与するためには生後おおむね8時間までに2回(1回量1kg前後)は初乳を給与する必要がある。
 (2) 上記以降の時間においては、従来の指導のとおり、生後3日令まで初乳の給与は必要である。