【指導参考事項】
|
1. 課題の分類 豚 2. 研究課題名 肉豚に対する麦類穀実サイレ−ジの利用法に関する試験成績 3. 期 間 (昭和44〜47) 4. 担 当 滝川畜試・飼養科 5. 予算区分 総合助成、道単 6. 協力関係 農林省・北農試 |
7. 目 的
麦類穀実サイレ−ジの養豚飼料としての栄養価値判定と利用方法を確立する。
8. 試験研究方法
(1) 麦の種類別の消化率(45年度指導参考)
(2) 麦の種類別の肥育効果(45年度指導参考)
(3) 小麦サイレ−ジの調理法
(4) 小麦サイレ−ジの水分含量と消化率
(5) 小麦サイレ−ジの給与率
(6) えん麦サイレ−ジ給与時の栄養補正
9. 結果の概要・要約
(1) 肉豚用飼料として、麦類穀実サイレ−ジを利用する場合、小麦・大麦は推奨されるが、えん麦については栄養価の補正が必要である。
(2) 穀実サイレ−ジの圧ぺん、粉砕はサイレ−ジに調整する前に行うのが望ましく、高水分の場合には特に必要としない。
(3) 麦類をサイレ−ジに調整する場合には、水分含量によって出来上がり品質が左右されるので、糊熟期後期の水分含量35%以上の時に調整を行うのが望ましく、穀実の水分含量が30%以下になった場合には、圧ぺん、粉砕などの処理を行い、消化率を向上させる必要がある。
(4) 小麦の高水分、低水分サイレ−ジと乾燥粉砕したものの消化率は各成分とも乾燥粉砕、高水分、低水分の順に高かった。
(5) 小麦サイレ−ジを30%、50%、70%代替給与したが、小麦の水分含量が低かったために給与率を高めると発育・試料要求率・枝肉形質が不良となった。
(6) えん麦サイレ−ジを30%、50%代替給与し、栄養価を動物性油脂、大豆かすで補正すると、十分利用が可能であった。
(7) 穀実サイレ−ジはいずれの水分含量でも採食性は良好であった。
(8) 穀実サイレ−ジは肉質におよぼす影響はほとんどなかった。
10. 主要成果の具体的数字
(1) 小麦サイレ−ジの調理法(穀実水分28.6%)
| 区 分 | 日増体量(g) | 飼料要求率 | 背脂肪層(cm) |
| 対照区 | 749 | 3.10 | 2.70 |
| 粒状区 | 647 | 3.41 | 2.83 |
| 圧ぺん区 | 714 | 3.16 | 2.73 |
| 粉砕区 | 690 | 3.30 | 2.90 |
| 区 分 | 全有機物 | 蛋白質 | 脂肪 | NFE | センイ |
| 高水分 | 79.88 | 73.98 | 55.29 | 84.00 | 25.22 |
| 低水分 | 71.27 | 61.79 | 32.65 | 75.50 | 7.15 |
| 乾粉砕 | 87.78 | 84.03 | 660.58 | 92.78 | 39.86 |
| 区 分 | 日増体量(g) | 飼料要求率 | 枝肉歩留(%) | 背脂肪層(cm) | ロ−スの赤肉(%) |
| 対照区 | 670 | 3.58 | 72.6 | 2.70 | 52.1 |
| 30%区 | 592 | 3.83 | 71.9 | 2.80 | 50.2 |
| 50%区 | 560 | 3.98 | 71.9 | 2.80 | 46.1 |
| 70%区 | 482 | 4.83 | 70.9 | 3.10 | 46.0 |
| 区 分 | 栄養補正飼料給与率 | 日増 体量 (g) |
飼料 要求率 |
枝肉 歩留 (%) |
背脂 肪層 (cm) |
ロ−ス の赤肉 (%) |
背脂肪 の隔点 (℃) |
|||
| 配合 | えん麦 | 大豆かす | 油脂 | |||||||
| 対照区 | 100 | − | − | − | 668 | 3.46 | 72.5 | 28.1 | 48.9 | 27.2 |
| 30%無補正 | 70 | 30 | − | − | 553 | 4.38 | 73.5 | 2.91 | 47.0 | 26.1 |
| 30%補正 | 58 (60) |
30 | 7 (5) |
5 | 681 | 3.33 | 73.9 | 3.26 | 45.5 | 25.6 |
| 50%補正 | 30 | 50 | 13 (11) |
7 (9) |
701 | 3.23 | 73.9 | 3.18 | 48.4 | 25.5 |
11. 今後の問題点
(1) 穀実サイレ−ジを圧ぺん、粉砕の作業体系の確立
(2) えん麦サイレ−ジ給与時の栄養価の補正のための組合せ飼料および動物性油脂の添加方法の検討
(3) 穀実シレ−ジの消化率向上のための加水、消化酸素などの利用についての検討
(4) 穀実サイレ−ジ用の簡易サイロの開発
(5) サイロの鼠害防止対策
12. 成果の取扱い