【指導参考事項】
1. 課題の分類  D-14 供試作物 牧草
2. 研究課題名  サイレ−ジの調整法に関する試験
            −こん包サイレ−ジの調整・貯蔵方法−
3. 期 間  昭45〜48
4. 担 当  新得畜試・研究部 草地飼料作物科
5. 予算区分  道費
6. 協力分担  なし

7. 目 的
 こん包サイレ−ジの調整貯蔵法を検討し、その実用性を明らかにする。

8. 試験研究方法
1. こん包サイレ−ジの品質
1-1. 予乾程度(水分含量60、49、43%)と貯蔵方法の違いによるサイレ−ジの化学的品質
  1) ビニ−ル密封スタックサイロとトレンチサイロに貯蔵したこん包サイレ−ジの化学的品質
  2) ビニ−ルスタックサイロでのこん包サイレ−ジと、細切サイレ−ジの比較
1-2. 小型(1m3容)のビニ−ル密封スタックサイロに貯蔵した低水分こん包;低水分細切り、高水分細切りサイレ−ジと乾草の比較
1-3. 5m3容のビニ−ルバキュ−ムサイロに貯蔵した低水分こん包および高水分細切サイレ−ジと乾草の比較
1-4. バックサイロの設置場所を異にした低水分こん包サイレ−ジと低水分細切サイレ−ジの比較
2. 低水分こん包サイレ−ジの発カビとその防止について
2-1. 予乾程度と調整、貯蔵方法の違いによる発カビ
2-2. 防ばい剤の効果について(ソルビン酸K、デヒドロ酢酸Na、プロピオン酸Na)
2-3. こん包密度と発カビの関係(192、168、116kg/m3での検討)
2-4. 開封後の経過日数と発カビ(実用規模のビニ−ルバキュ−ムサイロを使用)


9.結果の概要・要約
1-1. 1) こん包サイレ−ジの乳酸含量が各予乾程度とも低かった。
2) こん包サイレ−ジの化学的品質がやや劣る傾向であった。
1-2.3.4 ビニ−ル等で密封あるいは密封抜気する型式のサイロに貯蔵した場合、低水分こん包サイレ−ジは高水分細切サイレ−ジより品質がやや劣り、小型のサイロでは、低水分細切サイレ−ジよりも劣る傾向が認められた。
2-1. トレンチサイロの被カビ量がビニ−ル密封スタックサイロより少なかった。他は差はなかった。
2-2. 防ばい剤の効果は認められなかった。
2-3. 開封時では密度の高いものの被カビ量が少なかったが、開封後7日目では差がなかった。
2-4. 開封後6日目までの被カビこん包は少なかったが、7日目以後はカビこん包が増加した。

10. 主要成果の具体的数字
 表1. こん包サイレ−ジ品質
成分/
処理
DDM
(%)
DE
(cal/gDM)
DCP
(DM%)
TDN
(DM%)
1

2
高水分細切 64.5** a 8.6** a 64.5** a
低水分細切 60.2   b 8.5   a 60.0   b
低水分こん包 57.4   c 8.9   a 58.1   b
乾  草 66.2   a 7.7   b 64.3   a
CV(%) 1.4 2.6 1.5
1

3
高水分細切 64.0 3.06* a 7.3*  a 65.3* ab
低水分こん包Ⅰ 63.4 2.87  bc 6.2   b 63.7  ab
低水分こん包Ⅱ 65.2 3.00  ab 5.4   c 65.8   a
乾  草 63.2 2.72  c 4.9   c 62.5   b
CV(%) 2.0 6.0 2.0
1

4
屋外細切 69.7** a 3.16** a 10.7** b 67.1* ab
屋外こん包 67.0   b 2.97   c 9.5   c 65.6   c
屋内細切 69.3   a 3.14  ab 11.3   a 67.7   a
屋内こん包 68.6   a 3.04  bc 10.3   b 66.7  bc
CV(%) 0.97 1.52 1.66 1.03
  注) 表中の**は1%水準、*は5%水準でアルファベット異文字間に有意差あり。

 表2. 開封後の経過日数と発カビ



1日の取出しこん包



うちわけ カビこん包/
総数
×100










10
%









0 22 18
(82)
0 4
(18)
0 18
1 19 15
(79)
0 4
(21)
0 21
2 19 14
(74)
0 5
(26)
0 26
3 18 15
(83)
0 3
(17)
0 17
6 28 19
(68)
0 7
(25)
2
(7)
32
7 21 6
(29)
7
(33)
3
(14)
5
(2)
71
8 26 4
(15)
10
(38)
6
(23)
6
(23)
84
9 26 4
(15)
10
(38)
4
(15)
8
(31)
84
12 37 2
(5)
15
(41)
10
(27)
10
(27)
95
  注)1. ( )内は1日の取出し数に対する比率(%)
  注)2. カビの調査は裸眼で確認できるカビ菌糸を対象とした。

11. 今後の問題点
 こん包サイレ−ジが空気に晒された場合の防カビ方法と2次醗酵防止方法

12. 成果の取扱い
 1) こん包サイレ−ジの調整貯蔵利用は可能であろことが認められたが、とくに、貯蔵期間中あるいは、開封後の発カビを防ぐことはむずかしく、長期間の貯蔵利用を目的として調整することはさけるべきである。
 2) サイロはビニ−ル等で密封あるいは密封抜気する型式のものが望ましい。
 3) 家畜の飼養頭数にあわせ、サイロ1基分を7日間程度で給飼し終わるように、サイロ規模を設定すべきである。